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2006年05月25日
Web2.0 時代の情報収集の新しい手法 〜Kikker 開発者 神林氏にお聞きする〜
タイトルは、P2P today ダブルスラッシュにインスパイヤされました。本当にありがとうございます。
ということで、後輩の神林くんが Kikker という面白いサービスを立ち上げているので、インタビューしてみました。流行のポッドキャスティングには未対応です…。録音しておいて、それを字におこすのがかったるいので、メッセンジャーでインタビューを行いました。
「Kikkerの開発者に聞く100の質問」とかいうバトンじみたものではないので、ご安心を。
それでは、始まり始まり。
- まずは、Kikker の概要を教えてください。
Kikker は、ユーザーの趣向情報を分析してそれに従った情報を集めてこようというシステムです。『Web2.0 時代の情報収集の新しい手法』と謳っています。
- 具体的には、どのような機能があるのでしょうか?
ユーザの好きそうなはてブックマークのエントリや CEEK.JP NEWS で配信されているニュースが表示されます。そもそも、はてブニュースのエントリ数が多すぎて不便だと思っていたのが、開発の動機です。もっとユーザに応じて選別すれば、より便利になると思っていました。
- 読み方は「きっかー」で合っていますよね?
その通りです。オランダ語でカエルの意となります。
- どういった理由からカエルの意となる Kikker をサービスの名称としたのでしょうか?
筑波 → 筑波山 → つくばのがま → カエル → Kikker という流れが隠されています。
- 公開を開始してから2ヶ月ほど経ちましたが、評判の方はいかがでしょうか?
正直微妙ですね…。インターフェースがあまり良くないのと、広報戦略に失敗しているということなどが原因だと思っています。はてな や Google が Kikker を開発したのであれば、もっと盛り上がっていたとも思います。
- 想定しているユーザ層はどこですか?
当初は、はてなユーザーを対象としたものでしたが、今では CEEK.JP NEWS などからもエントリを持ってきているので、誰でも使えるシステムになっています。誰でも使えるとは言うものの、想定ユーザは Geek 周辺となります。
- ところで、謳い文句の Web2.0 はマーケティング用語だと思うのですが、神林さんはどのように定義していますか?
『サイトとユーザーとの間に双方向のインタラクションと、それによるシナジーが発生するようなウェブ』というふうに押さえています。どこかの受け売りですが…。これまでのウェブの部分集合であって、それらに置き換わるものではないと思います。
- 今までは、分散コンピューティングフレームワーク TOFU-G を始とした P2P に注力していたと見受けられますが、それらと Kikker には関連性はありますか?
直接の関係はありませんが、それらの開発を経て Kikker をサクっと作れるまでの技術力を培いました。
- 現在、 Kikker のサーバはどこに置いてあるのですか?
自宅サーバです。しかも Windows です(笑。作業用のPCで動かしてるので、専用のマシンが欲しいなぁと思う今日このごろ。
- ユーザーが増えてくると、自宅サーバでの運営が難しくなってくるかと思いますが、計算部分などにグリッドコンピューティング技術を導入する予定はありますか?
マイニングなどにもっと計算量が必要なアルゴリズムを採用することになった場合は、そういう解決方法もとるかもしれません。
- グリッドコンピューティング技術を導入しない場合は、自身で計算機に投資が必要となりますが、ビジネス展開などは考えておりますか?
未踏…。いやなんでもないです。
- 採択されなかったら…。
それこそ、グリッドを使ってどうにかしましょう(笑
- 現在は、自分の興味を手入力するという不便な形になっていますが、改善するのであれば、どのような形になりますか?
現在では手入力にあたって、キーワードと、どれだけ好きかという値をペアで指定しなくてはなりませんが、近いうちにキーワードだけでも OK にします。また、手入力しなくても最初からエントリをクリックすることで Kikker に趣向を学習させてしまえば良いという気もしています。
- 現在のパーソナライズというものは、学習して新たな情報を提示するというアプローチと、履歴を再利用するというアプローチがありますが(過去にクリックしたもページの一覧が見れるなど)、Kikker では、どちらに重点を置いていますか?
Kikker のメインの機能としては前者ですが、後者も視野に入れています。システム自体は後者のような事ができるような設計にしてあります。
- ユーザの履歴を学習し、興味があるであろう情報を提示することは非常に便利です。反面、ユーザー自身が学習を怠るといった弊害も考えられます。その点に関しては、いかがお考えでしょうか?
「世の中便利になると、人間はどんどん馬鹿になる」というのと同じような話ですね。そういった議論を始めだすとキリがなくなると思うので、私は問題だとはとらえていません。
- 筑波大学には、多くの大学発ベンチャーがありますが、神林さんも学生の間に起業する予定はありますか?
明確なプランはありませんが、機会があればと起業したいと思っています。こんな事言ってたらいつまでたっても無理そうですね(笑
- お忙しい中ありがとうございました。
まずは、真夜中のインタビューに関わらず、快く引き受けてくれた神林さん。ありがとうございました。
現在の Kikker は、神林氏が仰ったとおりインターフェイスや広報の点でうまくいっているとは言えず、ユーザ数が伸び悩んでいます。しかし、技術的には面白いことを行っており、少々の改善で、爆発的にユーザが増える可能性を秘めています。この辺は、今後に期待。
情報が過多に担ってきた今日では、少ないコストで必要な情報を選別する必要が出てきました。この Kikker もそういったことを促す一端を担っています。むしろ Web 2.0 を語る情報から、本当に重要な情報を抽出して欲しい…。
今後も似たようなサービスが他から投入される可能性は非常に高く、どんな面白いサービスが出てくるかを楽しみにしています。僕が作れって?そのうち…。
【関連情報】
・Kikker
http://ryogrid.myhome.cx:1234/
・Kikker Wiki
http://ryogrid.myhome.cx/wiki/pukiwiki.php?Kikker
・Ryoの開発日記
http://d.hatena.ne.jp/kanbayashi/
2006年05月25日 20:14 | Etc
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