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2008年04月12日

「え?なんて?」と聞きなおすのは貴方の話が聞きたいからです

現在では、ろう者(全く聴力のない方)に対する理解は広がりつつあります。しかし、それ以外の聴覚障害者(中軽度難聴)に対する理解は、まだまだ広がっていないようです。僕自身、中度難聴相当の聴覚障害者です。

聴覚障害者が理解されにくいのは「音は聴こえている」からだと思っています。

「音」と「声」は似ていますが、全く別物です。「音」を認識できても「声」を認識できるとは限りません。声は、様々な周波数で成り立っていますが、聴覚障害は、各周波数が一律に聴こえにくくなるわけではないからです。僕の場合であれば、聴力は周波数によって 30dB - 90dB という開きがあります。

この事は、大きな声であっても、認識できない場合がることを示します。声が欠けて聴こえているわけで、たとえ大きな声でも判らないものは判らないのです。

聴覚障害者は、「音」「声」「唇」の断片を拾いながら、自身の知識に基づき、頭の中で会話を再構築しています(英語のリスニングも似た感じかな)。唇というのは、口の動きから話している「言葉」を読み取ることを指します。知識に基づき再構築しているので、知らない話題の会話は苦手です。

「会話」をするのに、非常に労力を必要とします。内容の理解に知識を使うだけではなく、発されている「言葉」を組み立てるためにも知識が必要であるからです。面倒な作業をしてるので、特に興味のない内容であれば適当に相槌を打つ場合があります。

真面目に聞きたい場合は、何度でも聞きなおします。逆にどうでも良い話題は、聞きなおさずに相槌を打つだけです。話題を汲み取れてない場合もありますから、相手次第で相槌で逃げるかどうかを決める場合もあります。当たり前ですが、理解していて相槌を打つ場合もあります。

聞き返すことが、ポジティブな動作であるということを理解していただければ幸い。

コミュニケーションを苦手とする方は、もしかすると「聴覚障害者」かもしれません。コミュニケーションの中心は会話ですが、会話をするのに大きな労力をかけざるを得ない聴覚障害者は、そのことがストレスになっています。是非、頭の隅に入れておいてください。

僕の場合は、両耳とも聴覚障害を抱えていますが、特に左耳が酷い状態です。左耳は、常に耳に水が入っているような感じで、音がこもって聴こえます。なので、出来れば右側から話すか(僕が左側に座るようにしているのもそのため)、唇が見える位置で話していただけるとうれしいですね。

先ほども書きましたが、会話をするために脳内で言葉を補完しているので、急に言葉がかかるとさっぱり理解できていません。特に、後ろから声をかけられても反応できないというのがあります。決して無視をしているわけではないので、どうぞご理解ください。

長くなってきたので、適当にまとめます。

・「音」と「声」は別物です
・大きな声であれば、必ず認識できるというわけではありません
・聞きなおすのは真面目に聞きたいというポジティブな動作です
・後ろからの声かけには反応できない場合が多いです
・コミュニケーション力不足の人は聴覚障害者かもしれません

研究室の初回ゼミで、以上の話を少しだけさせていただきました。

自分が聴覚障害者であるという表明よりも、会話コミュニケーションが不完全であるという布教をしようと思います。不完全であるということが理解されれば、会話をする人全てのストレスを軽減できると思うのです。インターネットは不完全であるが故にストレスを感じることがありますが、不完全であるという事そのものに、そのストレスを転化します(不完全だから仕方ないやというある種の諦め)。会話コミュニケーションもそうなればな…と。

あ。聴覚障害は、現状では聴力を復活させるような治療方法は無いとされています(突発性難聴を除く)。視力の治療方法が眼鏡であるのと同様、聴力の治療方法は補聴器です。

【関連情報】
・聴覚障害者 - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/聴覚障害者

2008年04月12日 19:45 | Etc

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おお、来週日曜は皐月賞じゃないか〜〜!!しかも給料日…(←何を企んでいるんだ!?) 毎年この日を楽しみにしている皐月さんの為にもテンションを上げなくてはいけな... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2008年04月16日 23:58

コメント

確か、
養護学校とか
児童養護施設で実習があったと思ったのですが....
必ずしも教育実習の関連でこれを書いているわけではないのですね

投稿者 tak : 2008年04月13日 09:31

>> tak さん
養護学校などでの実習は、小中学校の教員免許状取得でしか必要ないですね。
教員を目指す者は、座学として障害児指導を学びます。障害児にどのような対応を行えばよいのか、どのような法制度があるのかを学びますが、肝心の「社会の中に目立たぬ障害者が居る」という視点が抜けているのです。一般の学生は言うまでもなく…。

投稿者 ceekz : 2008年04月13日 16:55

私は補聴器を身につけている、るぃと申します。
言っている事がすごく分かりますっ^^*
新学期となってみんなとなかなかコミュニケーションが
とれず悩んでいます。でも、毎年のことです。
いくら補聴器をつけたからといって、
完全に聞こえるようになったわけではありません。
聞き取れないものは仕方がないんです。
「なんでもない。」
その言葉を使われると、すごく悲しくなります。
その言葉を聞きなくないがために
何度も聞きなおしたくない
と思い、理解できないまま勝手に
「うん。」とうなずいてしまうものです。
私もその言葉を何度も使っています。
だから、私が「そんなこと言わないで」
などと言う資格などないのです。

でも、頑張りますっ><。
この記事を見てなんとなく元気が出ました。

では失礼しましたっ。

投稿者 るぃ : 2008年04月13日 19:50

>> るぃ さん
補聴器が完全でないという話はよく聞くのですが、実際に試していないので書けず…。
同じようなストレスを感じている人は、大勢いるのではないかと思います。会話コミュニケーションの不完全さを広げていければと思っています。

投稿者 ceekz : 2008年04月14日 11:29

はじめまして。難聴で検索をしてたどりつきました。
記事の内容が私が思っていた事とまさにぴったり!だったので、不躾ながらTBさせて頂きました。
自分の事が上手く相手に伝えられない時や自信を無くした時にこの記事を読み返してみようと思います。

投稿者 fumi : 2008年04月17日 00:06

>> fumi さん
僕の文章も分かり易いというわけではありませんが、力になれたら嬉しいです。

投稿者 ceekz : 2008年04月19日 23:11