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2008年11月23日
創造の方法学
はてな村でいつも通り議論が発生していて、議論に参加する前にこれくらいは読んでおけ…と書かれていたので購入した気がする(別に議論に参加するつもりはないが)。
アメリカの幼稚園では、絵にしろ工作にしろ、両親や先生が、手本を示してはいけないことになっている。模倣を排し、個性を尊び、新しい表現と、知識の創造を目ざす風土と伝統なのであろう。西欧文化の輸入に頼り、「いかに知るか」ではなく、「何を知るか」だけが重んじられてきた日本では、問題解決のための論理はいつも背後に退けられてきた。本書は、「なぜ」という問いかけから始まり、仮説を経験的事実の裏づけで、いかに検証していくかの道筋を提示していく。情報洪水のなかで、知的創造はいかにしたら可能なのだろうか。著者みずからの体験をとおして語る画期的な理論構築法が誕生した。
Amazon.co.jp に書かれた紹介文より。
この書籍は、読者によって大きく感想が異なるであろう。社会科学の分野にいるものからすれば、感心することが書かれていると感じるかもしれないが、自然科学の分野にいるものからすれば、何をいまさら…と感じる気がする。
創造の方法学というタイトルであるが、その方法論の具体例は、社会調査に関するものである。その調査方法は、数量的調査であり、媒介変数を意識するなど、自然科学分野ではほぼ当然の方法と言って差し支えがないだろう。当時を基準にすれば珍しいものであっただろうし、別の調査方法に関する解説もあるため(少しだが)、社会調査の歴史を知りたいのであれば丁度良いと思う。
卒業研究に着手している現在、最も心に響いた文は、以下であった。
実験的方法を重んじる限り、研究が「記述」で終わることはあり得ないので、「記述」と「説明」との区別はあまりにも当然のことであったのであろう。
記述とは、事実を正確に記録する研究方法であり、説明とは、何故という疑問を発し、その原因と結果を論理的に結びつける研究方法である。実験によって示された結果は、それ単独では記述に過ぎず、説明ではない。
あまりにも当然であろうが、僕はその視点を見失っており、再確認した。それだけで
も、本書を読んだ価値は大いにあった。
考え方の参考になりそうな書籍を関連書籍として。
古い書籍と言うこともあり、具体例に目新しさを感じることが少ないかもしれない。しかし、筆者の経験談は面白いし、僕にとっては読む価値が大いにあった。
ページ数: 198
読書時間: 2:28 (1.34 p/min)
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2008年11月23日 19:23 | Books