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2007年01月04日

電波利権

電波利権

話題になっていた記憶があり購入しました。池田氏の名前もよくネットで見かけたので。

「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。

ということで、日本における電波政策からテレビ放送利権までを描き、その改善方法の提案も書いている書籍です。前書きにも書かれていたが「電波」を技術的側面ではなく、ビジネス的側面からみた数少ない書籍だと思う。

GHQ(連合軍総司令部)がこれを改革しようとして、アメリカのFCC(連邦通信委員会)に似た「電波管理委員会」を設けた。これは放送を管理する部門に政府から距離を取らせ、放送の中立性を担保するためのものだった。

NHK を民営化するという話を良く聞くが、僕は NHK を完全な国営放送に変える方が良いのではないかと思う。ただ、国営放送に変えるためには電波の割当を行う機関が政府から独立している必要があると思う。そういう意味では、占領下に作られた「電波管理委員会」が上手く機能すれば良かったのに…。

ジャーナリズム(民放)はその特性上、政府に批判的にならざるを得ず、いわゆる政府の意向をそのまま伝える放送があっても良いのでは無いかと思うのです。まぁ。現実は、本書にも書いてありますが、政府の電波政策の「上手さ」から、非常に批判的な民放は無いわけですけど。

栄村側の「通常のケーブルテレビには再放送を認めているのに、なぜIPではだめなのか」という質問に対して、民放側は「加工されて県外に再配信される」「画質が悪く、スポンサーに対して問題がある」などという理由をあげている。

「県外に再配信される」という文から、テレビサーバの提供サービスの問題を思い出しました。国内にテレビを受信するチューナーを設置して、インターネット経由にて海外でも日本のテレビが見れるというサービスです。

テレビ局が海外から映画などの放送権を得るときに地域を限定して得る場合が多いらしく、勝手に日本国外で流されると困るという側面もあるらしいですね。テレビ界だけではなく、コンテンツ会社の権利も絡んできますからややこしい…。

本書の提案を要約すると「電波の割当をやりなおす」になるわけですが、現在の技術では難しいのではないかと思う。資本主義が云々のビジネス的な側面もあるが、純粋に電波に「エイリアス」を張れないので、すぐに周波数帯を変更するのが困難ではないか。送受信する機器は既に市場に出回っているため、周波数帯の変更を行うためには、それらの機器が対応できるか、交換するしか方法が無い。

テレビのデジタル放送の部分でもそういった問題に触れていたが、本書の提案はそのまま当てはまる気がする。

ということで、電波利権や電波政策を知ることが出来ます。提案内容は、理想論な気がして現実味があるように思えません。色々な話題に触れていて読みやすいと思います。

まー。何だかんだで IP 放送の方向に進むと予想。

ページ数: 186
読書時間: 1:39 (1.91 p/min)

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2007年01月04日 23:33 | Books

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