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2007年06月03日

マンガが語る教師像 - 教育社会学が読み解く熱血のゆくえ

マンガが語る教師像―教育社会学が読み解く熱血のゆくえ

教職論(2006年度)で紹介されていたので購入しました。

マンガは読者に影響を与えるものであるが、逆に読者は作者に影響を与える。与える影響は、読者の希望であったり社会の情勢であったりする。マンガの教師像を検討すれば、読者(生徒・保護者)が希望する教師像を見つけることが出来るかもしれない…。本書は、これまでの教師マンガを検討し、求められる教師像を再構成する試みです。

現代のこどもが求める『熱血教師とは』―マンガ考現学 なぜ不良が教師になるのか?教師は気楽な仕事?

マンガに描かれた教師像を示しながらも、現実の教師の抱える問題や制度を示すなど、バランスの取れた内容でした。少々、強引な解釈も見受けられますが、その辺は、空気を読む方向で…。強引な解釈にも一考の余地があるものです。

第8章 大学での教員養成 1 小学校と高校の教師はどこが違うのか? 2 教員養成の歴史と現状 3 教員養成の問題点

第8章では、現在の教員養成制度に触れられているのですが、まさに養成制度の中に居る自分でも気づかないことが書かれていて新鮮でした。というか、教員養成課程の中では、教員養成そのものに関して余り触れられていないような気がする(受講科目によると思うが)。

「ヤンキー教師」というネーミングが示すように、義家氏が「元不良」であることばかりが過剰に取り上げられ、それがマンガと重ねあわされているように思う。

著者は、義家氏を持ち上げているのですが、僕は、否定的です。ただ、その否定の根拠は「ヤンキー教師」から起因するもので、すでにマスコミなどに作られた色眼鏡で見ているようだ。否定的な感情が変わるかどうか分からないけど、色眼鏡に気付いただけでも大きい。

私たちが教師像を語るときに、どうも「マンガ」の教師を理想としているように思う。理想の教師が「マンガ」になるので当たり前と言えば当たり前なのですが、その理想の教師が、現実にも「ありうる」と考えるところが危ういと思う。教育再生会議も…。

教員を目指す人でなくてもお勧めできます。本書は、教師像にスポットを当てているわけですが、マンガの影響力の大きさに気付くのではないでしょうか。

ページ数: 280
読書時間: 2:52 (1.63 p/min)

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2007年06月03日 23:46 | Books

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