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2007年07月10日
ウェブ人間論
ウェブ進化論の続きのようなイメージで購入した。
インターネットが普及しだしてから数年が立ち、現在は Web 2.0 と呼ばれる転換期に差し掛かっている。これからのウェブの進化について、テクノロジーの世界に住みウェブ進化論の作者である梅田氏と、文学の世界に住み芥川賞作家である平野氏が討論する。
「ウェブ進化」によって、人間はどう変わるのか?異分野の二人が徹底討論!
本書は、16時間にわたる討論をまとめたものである。結論だけを載せるわけではなく、討論内容そのものを載せているので、双方の思考内容が近くに見えて面白い。もちろん、完全に理解できるわけではない。
芥川賞作家との対談のまとめのようなものらしいので、技術的じゃないものを期待しています。
期待通り技術的な内容に深入りしていない(そもそも梅田氏はあまり技術を語らない)。技術を利用した未来について書かれている。また、その不安についても書かれているので、ノー天気な(失礼!)ポジティブ論というわけでもない。
先日、ついに Google ブック検索 がスタートしたが、まさにその内容も討論されている(米国版やアマゾンをベースに)。
第一章でも出ましたが、アマゾンの「なか見!検索」は、あれはまあ、大半が冒頭だけですけど、いまや世界中の本を全部スキャンして、ネット上に公開するというプロジェクトがグーグルを筆頭に進行中ですね。
第三章は、このような平野氏の投げかけで始まる。平野氏は、ネットに書籍内容(データ)が公開される事により、書籍が売れなくなることを心配している。対して、梅田氏は、書籍内容を公開する事により販促効果があると説く(ロングテール的に)。
僕も販促効果があると考えている。そもそも、書籍の価値は「内容」と「パッケージング」で成り立つと考えており、ネットでは「パッケージング」の価値が存在しないので、「書籍データ」だけでは「書籍」に太刀打ちできないと思う。
作家は「書籍」を「書籍データ」に置き換えている節があるが、プログラマも「サービス」を「機能」に置き換えている節がある(多機能こそが良いサービスと思ってる方が多いのでは?)ので、理解できる。
平野氏は、知識量が多いと感じたが、ウェブに関する思考の弱さが垣間見える気がする。古い文学史などを例に話すのだが、いまいち「平野氏の言葉」としての重みが感じられなかったのが残念。もう少し、大っぴらに討論しても良かったのではないかと思う。
ウェブの技術側に居る人は、読んでみても損の無い一冊だと思う。反対側の人が読むと、余計に混乱する可能性がある。混乱を楽しむのも一興であるが。
ページ数: 203
読書時間: 1:33 (2.18 p/min)
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2007年07月10日 23:36 | Books
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コメント
進化論は購入して、人間論は友達から借りてますがまだ読んでません。。。笑
投稿者 いのひろ : 2007年07月11日 12:26
>> いのひろ くん
未読がたまってくると、時期を逃してしまうので早めに読むのがお勧め。
週1日は、読書にあてて PC を利用しないというルールを作るのもよいかと思います。
投稿者 ceekz : 2007年07月11日 13:24