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2007年07月16日

“教育力”をみがく

“教育力”をみがく

教職論(2006年度)で紹介されていたので購入した。

学級崩壊という言葉が死語になりつつあるが、子供たちが「言うこと」を聞かないのは事実である。過去に比べて子供たちが変わったわけではなく、現在の教師に「教育力」が欠けているという視点に立つのが本書である。子供たちに迎合せず、管理するものではない、教育の思想と技術を伝える。

<教育力>とは、指導の力、人格の力、管理の力である。

著者は、公立小中学校で約30年の教師経験があり、その経験を基に「指導」の方法を説いたのが本書である。机上と具体の中間位の位置で書かれており、現場の教育にもすぐに役立てることが出来そうな内容であった。

僕は、自分自身があまり教員に向いていないのでは無いかとも思ったが…。

指導にはいろいろあるが、そのなかでもっとも中心をなすのは、「説得」である。というのは、子どもが「なるほど」と心から納得して「やろう」とする、これが指導だからである。

まず、指導は「注意」では無い事に気を付けたい。「指導してください」と言われると、脳内で「注意してください」に置き換えている場合が多いのではないだろうか。その上で、指導の中心は「説得」であるということは、多くの人が同意できることがと思う。

説得は、支持・命令と違う。命令には有無をいわさずにしたがわせるという強い意志がこめられている。しかし、説得は、説得されるほうの質問・意見・反論を保障している。

説得とはどのようなものかを考えると、非常に骨の折れる作業であるということが分かるだろう。冒頭に「子供たちが『言うこと』を聞かないのは事実である。」と書いたが、説得により「言うこと」を聞かないのは、言うまでも無く「説得力不足」である。すなわち、指導力不足は説得力不足に置き換えることが出来る。

説得は、非常に時間のかかる作業である。価値観の共有が不可欠であるが、現在の教員にそのような時間的余裕はあるのだろか…。力不足が時間不足に置き換えられることも多いのではないかと思う。

「教育力」が本書の中心であるが、「教科指導」に関する記述は無い。言い換えれば、著者の考える「教育」の本質とは、主に「生徒指導」であると言えそうだ。生徒指導は、教科指導ほど体系的に行うことが出来ないが、子どもたちの人生に関わるほど重要度が高い。にもかかわらず、教員養成課程でもほとんど触れられていない…。

教育の現場で、どのような「指導」が行われているのかを知り、そうすれば良いのかが垣間見えた。教員養成課程に居る学生は、同種の書籍は必読だろう。本書は、現役の教員にもお勧めできると思う。

ページ数: 221
読書時間: 2:02 (1.81 p/min)

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2007年07月16日 23:51 | Books

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