« プライバシー侵害の可能性を警告してくれるシステム | メイン | RanRan に行ったらお休みでした »

2006年09月16日

ヤバい経済学 - 悪ガキ教授が世の裏側を探検する

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

僕は、少しトンデモの入った雑学系の書籍が好きなのです。前から読みたいと思っていて、やっと手元に回ってきました。

インセンティブに着目して、詐欺や犯罪なども含めた世の中の事象を経済学的視点から分析。学校から裏社会まで、鮮やかに問題を洗い出して解決策や正しい動機付けを提示する。

出版元の東洋経済のページでは、このように紹介されていました。非常に期待感を持って読みましたよ。

結果というと期待を裏切らない面白さがありました。第6章が第5章の続きなような感じで、少々冗長に感じたので斜め読みして読み飛ばしました。子育ての話は、あまり興味が無いな…。別の話題を取り上げてくれれば、僕としては非常に満足だっただろう。

プールで死ぬ可能性(1万1000個あたり1人)と銃で死ぬ可能性(100万個強丁あたり1人)では比較にもならない。

子供が銃のある家に遊びに行くよりも、裏庭にプールのある家で遊んでいる方が安全だと信じているという話。実際の統計データでは、100倍ほどの差があるという結果。

これを読んだとき、アスベストによるがんの発生率とタバコによるがんの発生率の比較に似ていることを思い出した。人々(マスコミ?)は、タバコよりもアスベストの対策を行うことを望むのに、実際は、タバコのほうが危険性が高いという事実をご存知だろうか(統計マジックかもしれないけど)?もちろん、アスベスト対策は過去の失策によるところもあるので、なんとも言えないけど。

自分でコントロールできないリスク要因に比べると、コントロールできるリスク要因は怖がられないのです

と書いてあって、モヤモヤが解けた。確かにそうだよね…。

道徳的な建前を脱ぎ捨てて、データと真っ正直に向かい合えば、新しい、驚くような発見にたどり着けることが多い。

データを正しく抑えないと、地に足をつけて議論できないことが多々あると思う。

道徳は世の中がどうであってほしいかを表すと言えるだろう― 一方、経済学は世の中が実際にはどうなのかを表している。経済学は、他にも増して、計測の学問である。

道徳は「悪」では無いのはもちろんだが、ある種の「嘘」をつくと思ってる。「道徳」というのは、人々の間で完全に一致しないからだ。一致しないとき、人はそれを「押し付け」と感じると思う。

ところで、訳者がすごく挑発的な気がする。

さて、ここで相撲の話であるが、安全なアメリカにいるレヴィットはともかく、訳者は関連する件で2人も死人が出た(かもしれない)国にいる。あんまりツっこむと命が危ないので、レヴィット自身に語ってもらうことにする。

とか、

訳者は相撲が八百長なんてちょっとしか思っていませんって。だから殺さないでおねがい。

と書いてる。こういう文章が面白さを引き立てると思うのだけど、そのままで出版した出版社(東洋経済)がすごいと思う。もちろん、僕は、相撲は正々堂々と行われているスポーツだと思っていますよ。

ということで、子育ての話が冗長な気がしましたが、非常に面白かったです。国内のデータを基にした書籍として反社会学講座があるので、こちらも勧めておきます。

【関連記事】
書籍を借りてきた (2006年09月04日)

【関連商品】
ヤバい経済学 - 悪ガキ教授が世の裏側を探検する (スティーヴン・レヴィット)

2006年09月16日 20:00 | Books

トラックバック

このリストは、次のエントリーを参照しています: ヤバい経済学 - 悪ガキ教授が世の裏側を探検する:

» 書籍「ヤバい経済学」を読んで from Kirkの独白
 スティーヴン・D・レヴィットとスティーヴン・J・ダブナーが共著した書籍「ヤバい経済学 悪ガキ教授が世の裏側を探検する」を読みました。実に久し振りに「目から鱗が... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2007年03月25日 13:39

» 『ヤバい経済学』 from ビジネスに感動を
ブログネタ:最近面白かった本は? 参加中 本書『ヤバい経済学』では実際の結果を利用して、様々な人の行動とその動機を読み解く取り組みが記されている。 日本... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2009年05月21日 23:41

コメント

>プールで死ぬ可能性(1万1000個あたり1人)と銃で死ぬ可能性(100万個強丁あたり1人)では比較にもならない。

アスベストとタバコはわかるが、これは比較対象がまちがっている。

投稿者 jun : 2006年09月17日 01:47

>> jun くん
僕の説明の仕方が悪かったかな。
大学図書館に入っているので、実際に読んでみるのが良いと思います。

投稿者 ceekz : 2006年09月17日 01:58