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2007年11月05日
つっこみ力
スタンダード 反社会学講座を読んでからファンになったので、購入した。
人間は、正しい議論や批判にほとんど興味を示さない。それらを打開するためには、著者は、日本独特の笑いである「つっこみ」を磨き、面白い演出を行うことを勧める。すなわち、つっこみ力の強化である。
愛と勇気とお笑いと。
開くまでは、純粋に「お笑い」に関する書籍だと思っていた。著者の2作品目である反社会学の不埒な研究報告がお笑いに走っていたからだ。期待を裏切り、いわゆるメディアリテラシーに関する内容であった。
「正しさ」を述べるよりも、まずは聞いてもらえるような「演出」を行うという主張は、非常に同意できる。扉が閉じていれば、話(話し)にならないのだ。僕もそういうコミュニケーションを取っているつもりなのだけど、なかなか上手くいっていない…。
学問もフィクションなんです。学問の正しさには限界があるんだから、おもしろさをもっと重視していいんです。
断片は事実であるが、それらの塊であるテレビ番組としてのドキュメンタリーは「現実」以外の何者かであるという一節で出てきた件。正しさの限界を理由にせずとも、万人に知らせるために面白さを重視するのは大切なことだと思う。
ウチはウチ、よそはよそ。万国共通の法則はないんです。
社会科学が万国共通ではないという一節で出てきた件。具体的には、他国の少子化対策が日本でも有効かどうかを問う内容であった。日本は、外国を真似することが好きだ。既に先進国入りした今日では、真似される独自性を打ち出す方が大事なのではないかと思う。
データからの分析が少なくなっているが、メディアリテラシーに関する重要な示唆が溢れている。情報科の教員を目指している方は、読んでみて欲しい。第一作には及ばないものの、面白さも健在である。
途中に挟まれていた会話形式の部分が、第一作を超える面白さがあった。次回作は会話形式で執筆して欲しい。
ページ数: 222
読書時間: 2:15 (1.64 p/min)
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2007年11月05日 23:42 | Books