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2008年02月01日
安来市の話題で深めたかったこととか
図書館の話題はひっそりと。
先日、安来市が図書館に文献の一部削除を要請したことを取り上げたのですが、思ったより話題が広がりませんでした。利用者履歴の話題の方に移ったというのもあるのですが…。
閲覧制限ではなくページの削除を要請したのは、発行者が「安来市」であることも影響していると思う。
著者や出版社が自著の情報(書かれている内容)をコントロールする権利をどの程度有していて良いのか議論が広がれば良いと思っていました。広がりをみせなかった所を踏まえると、そんなに有しなくて良いよ、というのが大半なのかな。
もう少し踏み込むと、公文書の管理が「地方公共団体」に任されているとすれば、同種の文書(今回の文献に近いもの)は、内々で破棄されていたり改ざんされていたりする可能性が高い(誰からも非難されずに忘れ去られていく)と思うのだが、実態はどうだろうか。
週一回のペースで、図書館の話題を書こうと思うのですが、なかなか難しいですね…。
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・図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を - ACADEMIC RESOURCE GUIDE
発端から数日たち、議論が広がっていますが…。
書籍の破損防止のために、個人の利用者履歴を使うというのであれば、非常にナンセンスだと思います。利用履歴を基に、破損を行った可能性の高い利用者を注意するというのであれば、ますます「窓口でトラブルになるケース」が増えることでしょう。
公共図書館の貸出件数は、販売点数を上回るということですので、利用者履歴を有効活用すれば、素晴らしいリコメンドサービスが行えるのではないかと思っています。販売のリコメンドは、どうしても「新書」に偏ってしまうため、図書館の利用履歴であれば、少し古い書籍も上手くリコメンドできるのでは無いでしょうか。
僕は、そういったリコメンドサービスよりも、自身の貸出履歴を恒久に知ることが出来れば嬉しいですね。10年前に読んだ書籍は何だったか知りたいし、電子化を進めて、今まで借りた書籍の内容を検索することが出来れば非常に便利。自分専用の「電子知識データベース」を作るような感覚で。
電子化に関して言えば、出版者の協力を得られれば、新書の電子化は容易そうだけど…。印刷前の最終原稿は、電子データになっていると思うのだけど、どうでしょう。また、利用者視点に立てば、古書よりも新書が電子化されているほうが嬉しいですね。
・一部の公共図書館について泣き言を言うよー\(^o^)/ - 図書館学徒未満
今のダメ図書館にお金と権力を与えたとして、本当に問題が解決するの?
非常に同意できる内容でしたし、疑問の原点です。教育との比較も面白いです(比較的教育の方が知識があるので)。
今の図書館がよくならないのは、型が決まりきっているというのと、図書館を変えたいという方(図書館情報学系の研究者とか?)が途中まで頑張るのだけど、変えられない現実に気が付き、諦めてしまうかららしいですね。
・図書館の貸出におけるデータマイニング - 永字八法
・社会のお時間―公立図書館ってどんなところ? 〜明るい未来溢れる図書館〜 - 永字八法
ユーザーである図書館員にそういうデータマイニングの意識・技能がないせいもあるだろうが、年報に記載するためのグラフ作成プログラム程度の位置付けでしかない。
非常にがっかりしているのですが、図書館が「附属サービス」としてしか成立しないのであれば、仕方が無いと思います。そういう意味でも、図書館の「独立」に興味がありますが、様々な事情により、独立は難しいようですね。
法規制により図書館の専門員の割合が決められる日が来るのか、独立により専門員が増える日が来るのか、注目ですね!多分、どちらも実現されないのだろうけど。
・貸出履歴だけじゃない、俺の複写申請書だって漏洩してくれるなよ、とかなんとか - Tohru’s diary
貸出履歴の破棄云々は、利用者からの要望に従ったものなのか興味があります。戦前の思想検閲の反省に基づいていると思うのですが、そろそろ利用者に選択させても良いのではないかと思います。検閲、漏洩は、情報の保持そのものによって行われるのではなく、情報を扱う者によって行われるのです。
・やはり米国でも読書離れ - 丸山高弘の日々是電網 The First.
利用者の求めに応じ、ニーズに答えるためには、それに必要な蔵書構成がやはり必要だと思う。
ニーズを拾う仕組みを考えていく必要があると思います。
利用者履歴は、どの「分野」の情報が求められているか判ります。希望図書申請は、どの「書籍」が求められているか判ります。蔵書検索システムの検索履歴は、どの「キーワード」が求められているか判ります。
筑波大学の学生希望図書は、月1冊しか申請できません。また、予算を超えると申請そのものが出来なくなります。そのため、ニーズ調査という面では、不十分だと考えています。希望しても期待に応えられない場合があることを説明し、月1冊などという制限を撤廃して、ニーズ調査を徹底的に行った方が最終的には、利用者の利便性向上に繋がりそうです。
図書館には、利用者の様々な情報が集まっています。コンプライアンス強化を進め、情報の有効活用が行われるようになって欲しいですね。
「つくばリポジトリ」は筑波大学で生み出された研究・教育成果(学術論文・博士論文・研究報告書・教材など)を永続的に蓄積・保存し、インターネットを通してどなたでも無料でアクセスできるように公開する学術コンテンツデータベースです。
学士論文も閲覧できれば、卒論を書くときの助けになりそうです。
ところで、図書館情報学系の論文が、非常に少ないのは気のせいですか?発表論文数が少ないだけですか?
中教審では今後、専任教員の勤務条件の明確化や、図書館の保有冊数などについて基準を設けることなどを検討する。
ますます「図書館」が本の倉庫になってしまう…。また、情報は「書籍」であるという概念から抜け出せていない。図書館を設置基準に含めるのであれば、専門員の数と割合だと思う。ただ、そもそも大学附属図書館は、自然発生的に成立するのが筋ではないかな。
司書の仕事が、世間からどのように理解されているかがわかって面白い。予想通りですが。
でも日本の司書はアメリカみたいに、自分じゃなきゃ出来ない仕事してなくね?
もともとは、司書が「図書館」の専門員としても技能を有していないと思っていました(単なる本好きと捉えていた)。そういう側面もあるだろうけど、現在は、専門員を受け入れる体制が整っていない方が問題であると考えています。
・後期テスト突入、にぎわう図書館 東広島市鏡山 - 中国新聞
普段の約一・六倍に増える。
どこの大学も似たような状況かな。来館者数だけではなく、滞在時間の比較・検討が行われると面白そうですね。
「量子力学」の勉強中だった理学部二年野口智明さん(21)は「集中できる場が長く使えてうれしい」と話していた。
図書館が物理的に設置される以上は、このような利用者が日常的に増えるような取り組みを行うのが健全だと思います。書籍の倉庫としての図書館と、利用の場としての図書館を上手く両立できないものか。少し考えがあるのですが、そのうち別のエントリーに。
・「この本はわしが選んだ」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
・はてなブックマーク - 「この本はわしが選んだ」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
ある本を選書した方が、他にどの本を選書したのか知りたいですね。書評を基に書籍を購入することが殆どなのですが、書評の内容とともに、誰が書評を書いたのかということも重視していますから。
面白いけど今の公共図書館で単純導入すると資料課の司書は貸出数のみで勤務評定される悲劇が起こるかも…。
利用者ニーズに応えることが図書館の役割の一つであるならば、そういう指標を勤務評定に加えることは推進されるべきでしょう。ただ、現状の公共図書館に導入すると、そういう指標に偏りそうで怖いですね。
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疲れた…。毎週金曜日にまとめることを目指そう。
【関連記事】
・安来市が図書館に文献の一部削除を要請 (2008年01月15日)
2008年02月01日 10:41 | Toshokan
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» [図書館]自治体における文書保存の色々 from 永字八法
安来市の話題で深めたかったこととか - Ceekz Logsからトラックバックが来たので、補足。 公文書の管理が「地方公共団体」に任されているとすれば、同種の... [続きを読む]
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» [編集日誌]2008-09-16(Tue): 全国図書館大会用の参考資料−特にブログの記事を中心に from ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版
・「昨日の「全国図書館大会に向けて−参加者の方々に望むこと」への補遺」(編集日誌、2008-09-15) http://d.hatena.ne.jp/arg/... [続きを読む]
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コメント
図書館情報大学も筑波大学に吸収されちゃいましたからね。
旧 図書館情報大の先生たちは、 こちら NIIの方に移ってきていて、検索系では非常に有名ですが....
Yoshidaさんもこちらの方の志向があったりするんでしょうか?
専攻は違いますが..
投稿者 tak : 2008年02月01日 21:26
>> tak さん
図書館情報学がどのような学問かはあまり知らないのですが、情報流通と教育に興味があります。図書館は、どちらにも関連するようので…。
投稿者 ceekz : 2008年02月01日 23:13
図書館情報学は、
資料を見つけ出せるように最適な索引付けと、
順位の並べ方、
ユーザへの情報提供、
その他それらに関する
運用の研究などをやるそうです......
つまり、まさに情報検索そのものなのです。
投稿者 tak : 2008年02月06日 17:28
>> tak さん
情報検索そのものでも、ソフトウェアサイエンスまで踏み込む人は、少ないみたいですね。
投稿者 ceekz : 2008年02月08日 18:23