2008年10月26日

貸出履歴とレコメンドサービス

図書館利用者の貸出履歴がレコメンドサービスに利用できうることは結構知られていると思うのですが、時系列データを加えると面白そうですね。

現在の協調フィルタリングは、複数人のデータの重複具合を見てレコメンドしてるんだけど、ぼくはこれに時系列データを加えたいと思っています。

数日前に書籍の協調フィルタリングに時系列データを加えた方が面白いという書き込みを見かけ、頭の片隅においていました。似たようなアイデアですが、ニュースの関連記事検索で時系列データを使うと、ある事象を追うのに非常に便利なのではないかと思っていました(数年前に未踏ユースに出したアイデア)。

要約:OPAC(図書館蔵書検索)の検索語にパスファインダーに該当するトピックのキーワードがあるのならば、そのパスファインダーの文献を示してみてはどうかという提案

数日後、図書館の OPAC にパスファインダーの文献も表示すればよいというのを見かけ、どうせなら時系列データを加味したレコメンドの結果を出せば面白そうですね。そのレコメンドに、貸出履歴を大いに活用できるはず。

読書に前後関係、つまり本来あるはずの時系列情報をきちんと付加するというもの。より進んでいけば分野別の(最初に読むべき)入門書の選別までできるようになる。

レコメンドにより入門書の選別まで出来るのであれば、

利用者が概論書、入門書を求めているのだとしたら、そういった書籍を薦めてみるといいのではないでしょうか。

パスファインダーによって求められている結果を自動的に作成できるかも。

キーワード検索に合致した書籍に対し、それぞれ前に読むべき書籍を計算する。その計算結果を集約し、検索結果のリランキングを行う(キーワード検索と合致しない書籍も出る)。まぁ。前に読むべき書籍をクリックでたどれるだけでも面白そうだけど。

読むべき書籍を探すために書籍を借りるのであれば順序が逆になる可能性があるなど、研究としても非常に面白そう。既に先行している Amazon の販売履歴情報は新しい書籍に偏ってそうだけど、大学図書館の貸出履歴情報は古い書籍をカバーできそうとかも(公共図書館はどうだろう)。

次世代 TULIPS や Project Shizuku に期待しています :) まぁ。このテーマで未踏に応募してみようかな。

【関連情報】
・サジェスト・エンジン
 http://smashmedia.jp/blog/2008/10/002092.html
・OPAC(蔵書検索)の検索結果とパスファインダーを結びつけてみてはどうかな:Making OPAC 2.0
 http://note.openvista.jp/2008/opac-result-with-path-finder-data/

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2008年09月07日

図書館とホームレスの話題について

久しぶりに図書館の話題。

図書館にも女性専用席 ホームレス対策…「不公平」の声も (イザ!)

東京都内の図書館で、女性専用・優先席を設ける動きが広がっている。現在のところ、23区内220館のうち8館で実施。女性専用車両の痴漢対策というよりは、主な理由がホームレス対策だ。

東京都内の図書館で、ホームレス対策のため女性専用・優先席を設ける動きが広がっているという記事です。ネット上では様々な意見が交わされています。

都内在住の方は気管支炎喘息の治療が無料

都内では気管支炎喘息の治療が無料であると言うことを取り上げましたが、この種の助成情報は図書館で得られるのかな…と疑問に思っています(得られないと予想)。図書館は、現実的に「無料貸本屋」であり、書庫に過ぎないのですが、本来は、情報提供の窓口だと思うのです(図書は情報の一種に過ぎない)。そして、助成情報も図書館が扱う「情報」の一種なのでは無いかと思います。

ホームレスを対象とする助成は、何種かあるようです。行政が行う助成もあれば、民間団体(NPO)が行う助成もあります。図書館が、そのような助成情報をホームレスに与えてはどうかな。少なくとも「情報を与える」「助成情報の調べ方を教える」という業務は、図書館のレファレンスデスクの範疇ですよね?

リファレンスデスクに聞いてこない者は相手にする必要は無い、という意見もあると思う。しかし、聞いてこない者がリファレンスデスクの役割を知らない、情報の価値を知らないのかもしれない。情報の価値を知らない者には、誰かが情報の価値を教えてあげないといけないと思う。その役割は、情報を扱うプロフェッショナルが多数居る図書館が担うのが良いのではないのかな。

今後も「無料貸本屋」「書庫」「閑職」などと呼ばれ続けるかどうかの瀬戸際だと思いました。

ま。リソース足らないよ!有資格者以外のスタッフが多いよ!で一蹴されそうですが、図書館界隈(?)理想派の一角に居ますので、とりあえず書いてみた。

Ceekz::Hatena::Diary に書いた内容を全文転載しておきます(余り読まれていないから><)。1週間前ですね。

図書館は行政サービスの一環であるのが現状だが、他に「図書館」という崇高な理念もあり、そのバランスが難しい。

ホームレスの問題は、行政サービスという観点からすれば、体臭のひどい人を追い出すというのは、他の大多数の利益にかなう以上、許容できる(効率の問題)。しかし、図書館という観点からすれば、他の大多数の利益のために少数を排除して良いかは疑問。

図書館は、情報の窓口であるという原点に立つべき(本の窓口ではない)。ホームレスに適切な情報(福祉の窓口など)を与えることは「図書館は本を読むところ」などという低次元な役割から脱却するチャンスだと思う。今こそレファレンスデスクの“本来”の役目を果たすべき!「本を紹介して貰うところ♪」などと言わせていてはいけない!

全文転載文中の「行政サービス」「図書館」は僕の考える一面です。「行政サービス」だからこそ、大多数の利益のために少数を排除してはならないと考えられるだろうし、「図書館」は理想よりも現実で運営し、大多数の利益に叶うようなサービスを展開するべきだ、ともなる。

この辺のバックグラウンドがバラバラであるため、今回の議論は、非常に発散してしまっている印象を受けました。

明日は、春日で「学習指導と学校図書館」を受けるので、筑波図書関係ブロガーと議論してこよう。

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2008年05月06日

図書館関係ブックマークの大掃除

ブックマーク数

図書館関係ブックマークを溜め続け、大変な事になりました。適当にコメントを付けて、削除することにします。

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筑波大学附属図書館・スターバックスOPEN -思った以上にいいんじゃない? - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
大学にスタバは必要か 筑波大でHOTな論争(産経) - M_Observatory
むしろ大学内にパブが必要 - 発声練習
筑波大図書館に喫茶店/スターバックスがオープン 常陽新聞 2008/03/19 09:56:37 - 郷土紙連合
スターバックス店内から図書館無線LANに接続できます - 新しい情報(全館共通) - TULIPS

筑波大学附属図書館にスターバックスが設置された件。

無線 LAN の利用できるカフェが出来るのは嬉しいですね。読書をする際に、飲み物を沢山飲むというわけでもないですが、飲めるというオプションがあるのは嬉しい。また、無線 LAN が利用できると、途中の息抜きも出来るので。

「分野にかかわらず議論が出来るよ」という場所があれば面白いと思うのですが、議論そのものを好む学生が少ないのが難点…。その際、お酒が有ればベターだけど、ピザでも良いと思う。皆で食べられるパーティ料理(ピザ)は、人を集めたり、議論を促しやすいと思うのだけど、学食で売っているのは、一人で食べる用の弁当くらい。うーむ。

「○○が利用できます」の広報の際は、利用シーンの写真とセットの方が良いですよ。

図書館業界の腐りゆく状況 - 火薬と鋼
逆だ逆、現状のやばさを認識してるから理想を掲げるんだよ図書館系ブロガーは - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
あやまちを照らす灯を - The best is yet to be.
それでどうすればいいんですか - 火薬と鋼
図書館外部の人向け。待遇が悪くて困るの巻 - 火薬と鋼

「理想よりも現実を」から始まり、図書館の労働環境の話題に広がる。

理想を語るのは、現実の閉塞感を打破したいからだと思う。理想だけでは改善しないけど、理想がなければ絶対に改善しない。春日キャンパスで授業を受けていると(司書教諭関連の授業)、先生方は、異口同音に「最も良い図書館を参考にしなさい。全てを取り入れるのは難しくても、少しだけなら取り入れられるはずだから。」と教えていることに気が付きました。

労働環境が余りにも悪いのであれば、図書館を潰してしまうと言う方法もあるでしょう。元来、教育や文化は貴族の娯楽だったわけで、国民総貴族になれないのであれば、廃止も手。それを止めるために、図書館の必要性を世に問わねばならんわけですが、様々な情報公開が遅れていると思います。運営面に関して言えば、有料化の道を自ら閉ざしているわけですから、世に理解を求める以外に道は無いですよね。

僕は、図書館を考える勢力として、

理想派 ... 無料貸本屋じゃダメなんだよ。改善しないと。
現実派 ... 図書館は苦しいのじゃ。現状維持で精一杯なのじゃ。
利用者 ... 今の図書館は無料貸本屋じゃん。何が悪いの?

のように3分類出来るのでは無いかと思っています。こうやって分類してみると、現状維持が最もベターなのですが、利用者として大阪府知事みたいなのが現れると、一気にバランスが崩れる。その場合に備えて、理想論を語り続ける必要があるのだと思う。絵に描いた餅ではない理想論を。

葦岸堂之日々是日々: 橋下知事の図書館観
jidoubungakukan.htm-大阪国際児童文学館存続のためのお願い。
89歳老学者、38歳大阪府の橋下知事を叱る - MSN産経ニュース
府:PT案 児童文学館廃止、私学助成削減…反対の声鳴りやまず /大阪 - 毎日jp(毎日新聞)
「滋賀県にとって1億円は大金だが大阪府にははした金。寄らば大樹の陰ですよ」 - kmizusawaの日記
asahi.com:大阪の児童文学館に廃止案 - 出版ニュース - BOOK

大阪府が児童文学館を府立図書館に統合すると言い出した件の続報。

様々な意見が出ていますが、未だに「なぜ文学館で出来て図書館が出来ないのか」に対する回答が出ていない気がします。多くの人は「本は図書館に集約」が可能だと考えているはずで、それが不可能であるならば、その回答を早く出すべきなのです。統合されれば、これまで通り献本が受けられないという意見が多いのですが、献本する側からの何らかの表明は見かけないのですが…。

存続を望む声は大きいのですが、財政が本当にダメになれば、それは難しいわけです(今は余裕があるのかもしれないけど)。今、寄付金で運営を継続しようという話は出ていないのかな。署名者1人あたり1万円負担すれば、年間運営費に相当するようです。

いずれにしても、橋下府知事の図書館観を聞きたいものですが。

「L-1グランプリ2008 未来のスーパーライブラリアンは君だ」観戦記(遅ればせながら第34回ディジタル図書館ワークショップ感想) - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

機能の追加は簡単ですが(実装できるかどうかは別)、削除は非常に難しいのです。しかし、多くの機能を抱えるシステムは、利用者に嬉しくありません(そのシステムの目的が曖昧になるし)。ということで、機能選択の基準は何ですか?と言う事を聞きたかった。

募金の集まらない図書館についての本を読んで - Copy & Copyright Diary

貸出のみでも構わないというのは、利用者の率直な意見なのかな。

図書ボランティア400人で活躍中 − タウンニュース

ボランティアに頼る運営方針というのは、労働環境をさらに悪化させる可能性があるので賛同できない。ただ、文化は貴族のお遊びという面もあるから、ボランティアに任せて、担うボランティアが居なくなれば潰すというのも手だと思うようになりました。

何事も無理はよくない。

児童書全点購入は継続 滋賀県立図書館、開始20年で20万冊に 京都新聞

献本という不安要素の大きい方法に頼らない。予算が削られる中(開館日を減らしたり)でも続けると言うことは、美術館や図書館と同様に蔵書内容に独自性を出していく方向なんだろう。公共図書館は、何処でも同じようなサービスを受けられるとイメージから脱却かな。

Shizukuの論文が、つくばリポジトリ上で公開されました - 図書館情報学を学ぶ
2008-04-18(Fri): 「利用者のつながりを創り出すコミュニティ指向型図書館システム」を読んで - ACADEMIC RESOURCE GUIDE (ARG) - ブログ版

論文という机上の空論を詰めるよりも(コミュニティ云々)、実際に見えるプログラムを詰めていく方が良いと思う。ただ、論文での議論を望む人も居るし、学術界で認められるためには論文しかないわけで、論文を出すこと自体は否定しません。

と。論文を一本も出していない者が偉そうに書きます。

中日新聞:蔵書貸し出し停止へ 岡崎市中央図書館、移転で:愛知(CHUNICHI Web)

貸出なんか永久に止めてしまえば良い。

河川図書館 開きます 筑紫野市・古賀さん私費で8000冊 専門家も評価「国立以上」 / 西日本新聞

関連蔵書の充実度が国会図書館以上であるならば、国会図書館の立場が無い。納本されていない?

徳島市立図書館、便利に 指定管理者導入、利用者は民間委託歓迎 徳島新聞社

図書館を「無料貸本屋」に特化すれば、さらに運営費を削減できそう。

りぽじとりの中の人々: RSSはじめました。

RSS のエントリ順序が最新順じゃ無いような…。

図情のラーニングコモンズに行ってきた - としょかんだいすきー
キャンパる・なにコレ!?:お茶の水女子大「キャリアカフェ」 - 毎日jp(毎日新聞)
08/04/19/12:53:31の日記 - 駄目人間のページ

春日にラーニング・コモンズが設置されました。

議論を好む学生が少ない中で、ラーニング・コモンズを盛り上げるにはどうすれば良いのだろう。たまに顔を出すけど、利用者は少ない模様…。先生方は、図書館や計算機室に TA を設置するレベルの内容を求めてるみたい。僕は、人のハブになる場所になれば良いと思う。あの場所を通じて、多くの面白い人と友達になりたい!そのために、利用者の属性情報を収集しても良いと思う。

あ。ドリンクバーを置いてくれれば、毎日通います :)

大学図書館職員,募集中! - ヨネザアドの学びの杜・遊びの海(米澤誠の公式ブログ) - Yahoo!ブログ
山形大学附属図書館 職員の採用情報

図書館自ら採用に関する公式なメッセージを出しているのは、始めてみました。他の図書館でもやっているのかな?

できごと記:レファレンスサービスと会話 - livedoor Blog(ブログ)

最も求められる能力は、どの業界でも「コミュニケーション能力」であるということ。そう考えれば、その業界も全ての人に開かれていますね。司書を目指す人は、本オタクの根暗が多いというイメージがあるのだけど、そうでもないのね。

DORA-LOG: [今日のひと言]公共図書館のコンピュータの処遇

図書館をわざわざ利用するユーザは IT 弱者で、既存利用者のための IT 投資は微妙かもしれないと考え始めました。もちろん、図書館の可能性を広げたり、図書館利用者を増やすためには IT 投資も有効だと思うけど。

図書館司書の戯言 調べることはおもしろい!!

学校図書館と公立図書館では、その役目が大きく違う。そのため、レファレンスの対応内容も異なる。でも、利用者はその役目の違いを区別しないと思う。学校図書館では、調べ方を教えるというのには同意ですが、どこかの段階で、レファレンスで「解答」を得られるということを教えないといけないと思うのです。また、その「解答」を「解答」かどうかを判断するのは利用者自身であるということも。

論文に対するフィードバック、ありがとうございます。 - としょかんだいすきー

日々情報公開をした上で論文を公開した成果だと思う。また、フィードバックの受付先も分かり易いし、その内容を公開して良いという雰囲気が出来ている。単にリポジトリに投稿しただけでは、そうならないと思う。

『相棒』 - としょかんだいすきー

図書資料以外を軽視している結果だと思う。このような事が行われると、図書館の資料対して検閲を行おうとする者に口実を与えてしまう。

公立図書館に民間の知恵 : 神奈川 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「蔵書が偏る」という考え方は、一館で全てを行わなければならないという思想が原点にあるのではないかな。一館で全てを行わなければならないという考え方は、人材の流通、ノウハウの共有などの面から、結構弊害が大きいと思う。

本の受け取り24時間OK 県内初、専用ロッカー - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

Amazon.co.jp で購入した方が楽。絶版は別だけど。利用者も手間隙(時間)のコストを考えないと。

図書館の本を自分で戻してはダメ? - The best is yet to be.

図書館を利用したくなくなる瞬間は、存在するはずの蔵書が存在しないとき。ただ、読みたい書籍が決まっている時は Amazon.co.jp で購入するのだけど。

本を自分で戻すのは、学校図書館などで「読んだ本は元の場所に」と指導しているからだと思う。この指導の賛否はともかく、この指導をする際は「おかしな場所にある本は正しい場所に動かす」もセットにする必要があると思う。図書を元の位置に戻す(厳密には正しい場所に戻すだ)必要性を理解させないと、意味が無い。

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本日のまとめ。

・ブックマークの溜めすぎに気を付けましょう
・ニュースは後日取り上げるのが難しい(削除されている)

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2008年04月28日

国立情報学研究所の機関リポジトリはどこ?

図書館の話題をそろそろ再開しようと思います。

機関リポジトリ横断検索を開発していて気付いたのですが、音頭を取っている国立情報学研究所の機関リポジトリはどこにあるのでしょう?業績は様々な形態で公開されていますが、各大学が進めているように機関リポジトリという形で一元的に提供しないのかな。

現在進められている学術機関リポジトリは、メタデータを OAI-PMH などで相互にやり取りでき(出来ないリポジトリもあるけど)、その点が、今までの業績公開方法と大きく異なっていると思います。相互連携性は、情報があふれている今日だからこそ、必要だと思うのです。

NII の機関リポジトリの URL が分かる方は、是非教えてください。

【関連情報】
・広報資料 | 国立情報学研究所
 http://www.nii.ac.jp/results/pr_data/leaflet-j.shtml
・学術機関リポジトリ構築連携支援事業
 http://www.nii.ac.jp/irp/

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2008年04月07日

OAI-PMH BaseURL が判明していないリポジトリ

各機関に問い合わせれば済む話ですが、まずは、日記で情報提供をお願いしようと思います。集合知の試みとも言えます。単に、面倒事を押し付ける試みとも言えますが…。

DC をクロールしようと思っていたのですが、現在は JuNii+ と同じく junii2 をクロールしようかと傾いています。

OAI-PMH を利用するようにクローラを書き換えました。伴い、各機関の OAI-PMH BaseURL が必要になりました。リポジトリシステムの標準設定から推測したり、機関リポジトリのディレクトリである OpenDOAR などを当たったりしていますが、未だに OAI-PMH BaseURL が判明していないリポジトリがあります。

T2R2 東京工業大学リサーチリポジトリ

http://eprints.it.ss.titech.ac.jp/perl/oai

旧システムの OAI-PMH BaseURL は判明しましたが、現在の OAI-PMH BaseURL が判明していません。アドレスなどから推測すると、独自システムのようですね。

鹿児島大学リポジトリ

http://ir.kagoshima-u.ac.jp/dspace-oai/request

DSpace を利用していることから OAI-PMH BaseURL を推測しましたが、正しくないようです。他の情報源でもこのアドレスなのですが、現在ではアクセスすることが出来ません。

上記2機関の OAI-PMH BaseURL をご存知の方は、是非教えてください。

他の84機関(学部別とかあるので84リポジトリが正しい)の OAI-PMH BaseURL は判明しています。このうち、68機関が junii2 に対応しています。ただ、準拠しないメタデータを出力するケースも見受けられますが…。

クロールで得た知見は、小出しにすることで図書館エントリ数を稼ごうと思います。誤った形式のデータを出力する機関(僕の所属する筑波大学も含まれています)や、恥ずかしいスペルミスをしている機関などを挙げていく予定です。

【関連記事】
NII は DC の限定子を指示した方が良いと思う (2008年04月05日)
学術機関リポジトリ横断検索構想 (2008年03月31日)

21:55 | コメント (0) | トラックバック

2008年04月05日

NII は DC の限定子を指示した方が良いと思う

学術機関リポジトリ横断検索の開発を続けていますが、メタデータの要素名の統一の無さにうんざりしてきました。先人に学ぶということで、既に実装されている JuNii+ の仕様を参考にしています。

JuNii+ハーベスタ機能実装仕様 - NII

JuNii+のハーベスタは次のようなリクエストにより定期的にハーベスティングを行います。

JuNii+ のクロールは OAI-PMH を利用し、独自規格の junii2 形式のデータを収集しているようです。

メタデータ・フォーマットjunii2 - NII

junii2とは、国立情報学研究所が機関リポジトリの相互運用性確保のために策定したメタデータ・フォーマットです。

junii2 は oai_dc に代わる独自規格のようです。また、ウェブ公開用には Dublin Core (以下 DC)も定義されています(内部データの管理用なので DC といえるかも謎ですが)。今回の横断検索では、公開用の DC メタデータを利用しようと考えていました。理由は、他のメタデータ(junii2, oai_dc)とは違い、限定子が明記されているからです。

Capability-based egress network access control by using DNS server (DC)
Capability-based egress network access control by using DNS server (junii2)
Capability-based egress network access control by using DNS server (oai_dc)

上記の例で言えば、著者が creator で纏められているか、限定子を加えた contributor.author, contributor.alternative で区別されるかどうかの違いがあります。小さな違いのように見えるかもしれませんが、属性検索の実装などを考えると、結構大きな違いです。解りやすいのは oai_dc では、タイトルに類するもの(本タイトル, 翻訳タイトル etc...)は title で纏められています。この場合、検索結果のタイトルにどのタイトルを採用するのかシステムが迷います(DC, junii2 などからも取れば解決しますが)。

DC の要素名は、デフォルトで設定されているもの以外は、リポジトリ設置者が拡張できるようです。この拡張が、非常に曲者なのです。

筑波大学の場合は limedio.id などが独自に定義されています。この要素は、導入している図書館システム LIMEDIO で振られた ID を示しているようです。このように、図書館独自のシステムに関する要素であればいいのですが、他にも type.nii が振られていますね。この要素は、先ほどの junii2 の NIItype と対応しています。

oai_dcにダムダウンさせるときの行き先

oai_dc で NIItype を表記するときは type を使うようにとの指示があります。さて、ウェブ表示用の DC の時は、なんと表記するのでしょうか?特に決まっていないので type, type.nii, type.niitype などが混在しています。

junii2 で定めた形式は、 DC で表記する際の限定子も示して欲しいのですが、そこまで踏み込んでいません。内部形式といえども、ウェブにメタデータ相当で出力される場合は、できるだけ統一して欲しいものですね。

DC をクロールしようと思っていたのですが、現在は JuNii+ と同じく junii2 をクロールしようかと傾いています。先ほど挙げた著者の区別ですが、リポジトリによっては contributor.alternative を活用していない例もあり、思ったほど限定子で区別できないとも思われるからです。

悩む悩む。

本日のまとめ。

・JuNii+ では junii2 形式のデータを集めています
・junii2 では DC 代替のための限定子が示されていません
・リポジトリごとに DC の限定子が乱立しています

前回、学術機関リポジトリ検索の開発中スクリーンショットを掲載しました。あのスクリーンショットで、本当に開発中と判りましたか?単なる HTML で記述しただけの物と思いませんでしたか?

と書きましたが、本当に動いています。開発中なので不特定多数に公開したくないのですが、インタフェース改善やアルファテストにお付き合いいただける方はご連絡ください。連絡先は、トップの右下に記載しています。開発中 URL をブログに記載するとか、はてなブックマークに登録するとかしなければ何をしていただいても構いませんので(日記に感想を書いていただいても良いです)、お気軽にご連絡ください。

【関連記事】
学術機関リポジトリ横断検索構想 (2008年03月31日)

【関連情報】
・DSpace システム説明書: 目次 - NII
 http://www.nii.ac.jp/metadata/irp/dspace-docs-jp/

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2008年03月31日

学術機関リポジトリ横断検索構想

Development の話題かもしれませんが、構想は Toshokan に書くということで。

開発中の学術機関リポジトリ横断検索

学術機関リポジトリの横断検索を開発します。横断検索を実装した暁には、フィード(RSS)出力機能を付けたいと思います。

宣言した通り開発に着手しました(現実逃避とも言います)。リポジトリシステムに DSpace を採用している機関(64機関)を収集し、約28万件のデータ(タイトルと URL のみ)が集まっています。また、冒頭のスクリーンショットの通り、タイトルで検索できる仕組みを作成してみました。

今後はメタデータの収集を行いますが、予備調査では、各機関のメタデータがまちまちなので統合が難しそうな予感。まずは、使われている要素名の統計を取るところからですね。その後、統合ルールを決めたいと思います。

現在調査中ですが、メタデータ交換プロトコル OAI-PMH を利用すればクロールが楽になりそう(ListIdentifiers で全リソースの識別子を取得できる模様)。各リソースの情報は、限定子相当が明示されていない点がアレなので、利用しにくいのですが(オリジナルのタイトルや翻訳のタイトルが dc:title で区別されない)。各リソースの情報は、ルールを作成して HTML から抽出する方が良さそうな感じです。

学術機関リポジトリ横断検索ですが、各リポジトリの横断検索にとどまらず、インターネット上に公開されている論文などを登録できる仕組みも設けたいと思っています。論文 PDF の URL と、数要素のメタデータを登録して貰うイメージです。登録は手動になるので、何らかのインセンティブを提供したいのですが、妙案は未だ浮かばず…。

JuNii+ 機関リポジトリポータル
筑波大学学内プロジェクト 機関リポジトリ横断検索

機関リポジトリの横断検索は、上記の通り既に実現されています。開発している横断検索システムは後発ですから、先発のインタフェースや機能を検証しながら開発を進めていきます。

あ。各リポジトリのデータを収集していればわかるのですが、リソースの種類は非常にカオス。ある大学はシラバスの情報ばかりだったり、ある大学は論文ばかりだったり。各機関のポリシーのようなものが垣間見えて面白いです。

【関連記事】
横断検索の実現方法とか (2008年03月22日)

【関連情報】
・機関リポジトリ一覧 - 学術機関リポジトリ構築連携支援事業 - NII
 http://www.nii.ac.jp/irp/list/

23:57 | コメント (0) | トラックバック

2008年03月22日

横断検索の実現方法とか

帰省中ですが、図書館の話題です。マウスが無いので面倒…。

某所で「学術機関リポジトリの横断検索を開発する」という宣言をしたため、後に引けなくなりました…。既に 筑波大学学内プロジェクト 機関リポジトリ横断検索 があるんですけどね…。今回は、横断検索の種類について述べたいと思います。

はてなブックマーク - はじめての文献複写申込とか - Ceekz Logs
はじめての文献複写申込とか - Ceekz Logs

長野のやつは、いわゆる横断検索だと聞いてます。現状の各館のシステムは基本そのまま

長野県が県下の図書館にある蔵書を一括検索できるシステムを準備しているということですが、僕は NACSIS-CAT に参加すると思ったのですが、風の噂では「横断検索」になるということです。図書館界隈の「横断検索」と僕の思っている「横断検索」に相違があるかもしれませんが、3通りの実現方法があると思います。

名称は、適当です。

1. 非統合型メタ検索エンジン

検索デスクのような横断検索エンジンを指します。この横断検索では、複数の検索エンジンでキーワードを入力する手間が省けます。実装が非常に容易ですが、リンク集の応用版に過ぎません。

2. 統合型メタ検索エンジン

CEEK.JP の構造

CEEK.JP のような横断検索エンジンを指します。各検索エンジンに自動的にクエリを投げ、その結果を任意のアルゴリズムで統合して表示します。各検索エンジンにクエリを投げるため、対象検索エンジンが多数ある場合、表示まで時間がかかります(実装方法次第ですが)。一般的に、横断検索といえばこの方法を指すと思います。

蔵書検索の場合、書籍の ISBN で統合すれば OK です(全国書誌番号でも)。

3. 小規模ロボット検索エンジン

CEEK.JP NEWS の構造

CEEK.JP NEWS のような横断検索エンジンを指します。決められた範囲でデータを収集し、そのデータを検索できるようにします。横断検索とは似つかないかもしれませんが、各検索エンジンに含まれるデータを予め1箇所に集めておく方法です。この横断検索自身は、普通の検索エンジンとして振舞うので、表示まで時間がかかるということはありません(実装方法次第ですが)。しかし、データを収集するコストがかかります。

蔵書検索の場合、各図書館の蔵書情報を一箇所に集めておきます。国立情報学研究所の NACSIS-CAT は、この方法に該当すると思います。

利便性は、後者ほど高いのですが、実装困難性も後者ほど高くなります。ただ、蔵書管理システムのデータ形式が統一化されていれば、比較的楽かもしれません。データ収集で面倒なのは、各データ形式を解析する部分なのです。

僕が開発を進めている「学術機関リポジトリの横断検索」は、最後の「小規模ロボット検索エンジン」を採用します。学術機関リポジトリの大半が DSpace を利用しているため、データ解析が楽なのです。また、データを持てば、属性検索の実装や柔軟な表示が可能になりますので。

長野県は、どうするのかな。「小規模ロボット検索エンジン」を採用するのであれば、各図書館の蔵書管理システムを統合した方が良い気もしますが…。

本日のまとめ。

・学術機関リポジトリの横断検索を開発中です
・横断検索には3通りの実現方法があります
・小規模ロボット検索エンジン開発の依頼は私まで

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神戸新聞|阪神・北摂|祝日開館へ 三田市立図書館、来月から試行

三田市立図書館と同館ウッディタウン分館が、四月から祝日も開館することが、十四日決まった。

先日、滋賀県立図書館が開館日を減らすという報道がありましたが、兵庫県の三田市立図書館は開館日を増やすそうです。休日である祝日に利用できるようになるのは、良いですね。

祝日開館により、年間開館日は十六日増える。ただし、現在休館日になっている火曜日が祝日の場合、翌日の平日を休む。

祝日に関わらず、火曜日は必ず休館という方がわかりやすいと思ったのですが、図書館としては、祝日は必ず開館というのを広めたいのかもしれませんね。利用できない日よりも利用できる日を伝える方が良いのかな。

ちょっとびっくりしたLibrary2.0 - Sweet Candy はてなダイアリー版

Web 2.0 は、多くの夢をみさせることにより、投資を促すことが出来ました。また、新しい概念のサービスも増えたと思います。Library 2.0 は、新しい図書館の夢をみさせてくれるのでしょうか…。

サービスが進化するとき、既存の概念を覆したり、法に抵触する場合もあります。日本の図書館は、公共団体の運営が大半であり、既存の概念を覆して進化するのは難しいのかもしれません。外部がそう考えるのは仕方ないのですが、仮に内部もそう考えているのであれば、決して進化は望めませんね…。

言い訳を考えるよりも、改善方法を考えよう。僕も気を付けているのですが、なかなか難しい…。

DORA-LOG: [今日のひと言]或る検索

人生経験豊富な人が、こんな若造に聞いて....と、すれば、私たちは恰も「この本を自力で探すことが出来た、図書館員なんか要らないな」というぐらいの達成感を得られるような形で最短ルートで手にする手伝いをする。

レファレンスに対する敷居の高さとして、利用者の「プライド」が挙げられていました。医者や弁護士が相手であれば、プライドを感じて利用しないということは無いと思う。レファレンス業務が利用者に見下されているのかな…。適切な情報(蔵書情報など)を得ることは、簡単に出来ることではないということを、利用者に理解してもらうにはどうすれば良いのだろう。

私たちは、webでのサービスを提供するために他のサービスを疎かにするとか、サービスの転換をするなどとは一切考えていない。

ウェブは既存業務のプラスアルファであるということは、非常に同意します。

筑波大学 | 最新情報 附属図書館にコーヒーショップオープン
中央図書館エントランスにスターバックスコーヒーがオープンしました。 - 新しい情報(全館共通) - TULIPS

筑波大学附属図書館にスターバックスがオープンしました。オープニングイベントの日時を知らなかったのですが、どこに掲示されていたのでしょうか?ウェブに掲示されると嬉しいけど、あまり望めない…。

詳しくは、実際に利用してみてから書くということで。

Tohru’s diary - 全政令指定都市の市立図書館のHPを一気に訪問、で感想と外部サーバ使用について

OPACだけ別サーバ(外部の委託業者サーバでというパターン)ってのが「どこのどんなサーバかも利用者に知らせないまま、利用者が気が付かないようにアクセスさせ、(場合によっては)利用者の個人情報をそのサーバで取り扱う」構造になっているから。

非常に同意です。急に別サーバに飛ばすのは、止めて欲しいと思う。

某氏に RefWorks の利用を勧められたのですが、使う気が失せたのを思い出しました。TULIPS を閲覧すればわかりますが RefWorks は、メニューの一部になっています。その為、筑波大学ドメイン(tsukuba.ac.jp)でホスティングされていると思ったら、違った!気づいたときは、大学のアカウントを入力した後でしたよ…。

附属図書館を信頼しすぎるのも良くないと言うことを今更ながら学びました。ページ移動前に警告を出したり、メニューの色を変えたほうが良いと思います。不注意が原因なので、八つ当たりみたいですが…。

愚智提衡而立治之至也: 学術機関リポジトリがRSSを吐いてないような気がする話

学術機関リポジトリの横断検索を開発します。横断検索を実装した暁には、フィード(RSS)出力機能を付けたいと思います。ただ、フィードを購読するほど、新しい論文がリポジトリに登録されているのかな…。

asahi.com:橋下知事、国際児童文学館を視察「図書館と統合を」 - 社会

向川幹雄館長は視察後、資料のうち50万点が文学発展に貢献するとして寄贈を受けたものと説明し、「文学館だからこそ寄贈が受けられる。統合されたら受けられない」と話した。

図書館では寄贈を受けられないという考えが面白いです。府立図書館だけに寄贈する理由が無くなるというのを危惧しているのでしょうけど、そもそも全ての図書館に寄贈しない理由は何だろう。また、各図書館が活動を PR することで(私ども図書館では児童文学の研究も行っていますとか)、寄贈を受けられないかな。

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TULIPS の話題で書きたいことがあるのですが、まだ書けません。筑波大学附属図書館が作業を完了しないと書けないのですよね…。何時になったら書けるだろうか。

23:47 | コメント (0) | トラックバック

2008年03月15日

はじめての文献複写申込とか

金曜日といわずに週末は図書館の話題ということで。出来るだけ金曜日に書きたいのですが…。

CiNii - サービス原価を基礎にした「行革」議論を(上)図書館の貸し出し予約、1冊にも税金から566円--ABC分析で業務の枠組みとプロセス改革を検討する

日本の図書館に関する費用対効果などを示したデータが欲しいと思ったのですが、図書館界隈の方々は認知していないようでしたので、自分で探してみようと思います。

という挑発的な事を書いていたら(図書館の話題はゆっくりひっそりと)、前記の文献を愚智提衡而立治之至也の方に紹介して頂きました。ありがとうございます。

図書館で文献複写申込を行い、入手したのでその顛末など。

筑波大学附属図書館で文献複写申込(私費)を行いました。図書館 Web サービスで行えるということで、ワクワクしながら自宅で申込を行おうと思ったのですが、マニュアルに書かれている「私費文献複写依頼」ボタンが表示されません…。

そうです。事前に「文献複写申込」の利用申請をレファレンスデスクで行う必要があるのです(ウェブで利用申請できない)。この事実に気づくまで、時間を無駄にしてしまいました…。利用申請を行った翌日から「文献複写申込」の Web サービスが利用できるようになるため、レファレンスデスクで文献複写申込を行う方が早いですね(利用申請と同時に初回の文献複写申込を行うとか)。

ウェブで利用申請を行えないのは何故だろう…。また、利用申請を行っていなくとも「私費文献複写依頼」ボタンを表示し、申請が必要な旨を表示する方が便利そう(未申請時)。

2月18日 15:00 : ウェブで利用申請書の取り寄せ
2月18日 16:50 : 中央図書館レファレンスデスクに利用申請書を提出
2月19日 09:00 : ウェブ「文献複写申込」が可能に(多分)
2月19日 16:00 : 文献複写申込
2月22日 15:55 : メールにて複写物到着の案内が届く

時系列にすると、以上の通りです。実際に受け取った日時は、失念してしまいました…。手数料を支払ったのですが、領収書は発行されませんでした(言えば貰えると思うけど)。

B4 3枚の複写で、合計180円でした(1枚30円 * 3枚 + 送料90円)。複写種別は「電子複写」なので、要はコピー機のことかな。申請から到着まで3日しか経っておらず、高度にシステム化されているのだと思います。著作権法上、原価でしか提供できないのは(しかも人件費は無視されている)、システム存続を考えると、マイナスっぽいですね…。

本日のまとめ。

・筑波大学附属図書館では「文献複写申込」をウェブで行うことが出来ます
・が、事前にレファレンスデスクで手続きが必要です
・文献複写は安い!早い!の二拍子が揃っています(複写内容によるだろうが)
・文献複写は原価以下で提供されています

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CiNii - サービス原価を基礎にした「行革」議論を(上)図書館の貸し出し予約、1冊にも税金から566円--ABC分析で業務の枠組みとプロセス改革を検討する

7年以上前の記事という事もあり、細かい計算は異なってきていると思いますが(そう信じたい)、非常に面白い内容が書かれていました。図書館における行政サービスの原価計算を行い、その結果を基にどうすればサービスを効率化できるのか考えていくきっかけを示しています。また、筆者は、図書館サービスの中心が「蔵書貸出」であることに、否定的であるようです。

「地域の図書館に立ち寄り、いくつかの本を閲覧し、興味のある分野に関する参考図書を教えてもらい、その本を含めて3冊予約した。次の機会に2冊借りたのだが、うっかり返却を忘れてはがきや電話で催促された」場合のコスト計算
閲覧(277) + レファレンス(5,319) + 予約(566*3) + 貸し出し(176*2) + 催促(1,844) = 合計(9,490円)

以上が、掲載されていたコスト計算の例です(引用の際にレイアウトを変更している)。

継続にはお金が必要という事もあり、物事をお金に換算すると見えることも増えるでしょう(お金だけを見ると見えないものも増えます)。スタートには、熱意が必要ですが、継続にはお金が必要というのが現実なのです。その上で、高いコストがかかっている物事が本当に必要かどうかの検討を行えばよいと思います。

今回行った、ABC分析はどのような手法で、行政評価にとってどのような有効性があるのか。あるいは、図書館以外にも、どのような分野に応用の可能性があるのか。これらについては、次回に述べることとする。

続きが読みたい!

○○市立市民図書館の返却カウンターは一種のリコメンデーションだったか? - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

面白い視点ですね。ウェブの蔵書検索システムでも、最終貸出日時や総貸出回数で一覧を表示したり検索結果をソートできると、新しい書籍に出会うパターンが増えそうです。

筑波大学附属図書館の蔵書検索システムでは、返却された瞬間に「返却済み」となります。その為、返却窓口に存在し、書架に存在しない場合があるので注意が必要です。書架の整理は、利用者に任されている部分もあり(閲覧した後に規定の場所に戻すかどうかは利用者次第)、規定の場所に存在しなくても周りを探す必要があるのですよね…。規定の場所に存在しない場合、窓口にあるかもしれないということを頭に入れておいて損は無いです。

中央図書館耐震改修工事に伴う図書の利用停止について - 新しい情報(全館共通) - TULIPS
50万冊の資料を利用可能な状態で一時的に退避させる方法を考えよ。ただし新しい図書館を建てることは不可能とする。 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
Digital & Law 研究室日誌: デジタル図書館と著作権法

中央図書館の建物は現行の耐震基準を充たしていないため、本年度より3ヶ年計画で本館部分の耐震補強工事が行われることとなりました。

かなり重要なアナウンスですが(一部蔵書が2年間利用できなくなる)、ウェブでの案内は1週間遅れですね。案内のフローはどうなっているのでしょう…。

噂の「安来市誌」も借りれなくなるので、借りたい方はお早めに(安来市が図書館に文献の一部削除を要請)。

これはもういっそ、GoogleかOCAとでも組んで電子化するくらいしか手がないんじゃないか、と言う気もしてくるが・・・

電子化に関する疑問をコメントで書きました。現法制度下では、難しそうです。法改正に向けて、話が進み始めていますが、図書館が積極的に提言を行えるかは疑問です(僕は図書館の活動に悲観的なので)。

古い蔵書だけを集めていくような「大学研究共同利用機関法人」があっても良いなと思いました。現在は、国立国会図書館しかその役割を担っていないので。現在は相互利用を促進するハブはありますが、物理的に蔵書を置いておくようなハブはなさそうなので。

蔵書一発検索へ - 長野 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

県教委文化財・生涯学習課によると、県内には、県や市町村、八十二文化財団(長野市)が運営する図書館が計66館ある。このうち55館については、それぞれインターネットでの検索が可能になっている。

残りの11館は、ウェブ蔵書検索システムを準備していないのか、図書館にインターネット接続されていないのかの、どちらなのでしょう。最初読んだときは、後者と感じたのですが、よく読むと前者なのかも…。

県教委は来年2月までにシステムを構築し、来年3月以降、接続可能な図書館から順次サービスを開始する予定だ。

「接続可能な図書館から順次サービスを開始」という点がよく解らないのですが、現在の蔵書管理システムを一掃し、データを移行するのかな。あ。国立情報学研究所の NACSIS-CAT に参加するのかも。

丸山高弘の日々是電網 The First. : 地域の交流拠点

地域の情報拠点は、地域の交流拠点でもある。それなのに、どうして図書館はおしゃべりできる空間を設計しないのか...僕には全く理解できない。

共感します。現在は、公民館などがその役割を担っていると思うのですが、特定の目的(催し物など)が無い場合、異常に行きにくいと思います。図書館は、1人でも書籍があるし行きやすいのだけど、まずは、見知らぬ隣の人に話しかけられる雰囲気を作らないと…。日本で見知らぬ人に話しかけられる機会は、ほとんど無いですね。

図書館9割でHP開設 読書基本計画 格差是正へ数値目標 - MSN産経ニュース
BenlySea_Blog: すべての図書館・図書室はサイトを設置せよ

子供の読解力低下が指摘されるなか政府は11日、読書活動を推進する上での主要施策を数値目標化した第2次基本計画(平成20〜24年度)をまとめた。17年時点で56%にとどまっている公立図書館のホームページ開設率を90%以上に引き上げるなどの到達目標を列記。

読書活動を何故推進しなければならないのでしょうか。読解力は、本を読むことでのみ改善するのでしょうか。ブログの閲覧者を「読者」と呼ばれる今日、読書(書籍を読むこと)以外の情報入手や活字を読むことを評価しても良いのでは?

すべての公共図書館は、サイトを整備して最低限の情報を開示して欲しい。

ウェブサイト開設に関する、具体的な内容が挙がっていました。

図書館は、著作権法の例外が認められるなど特別な施設であることから、基本データを文科省が管理・公開してもいいと思う。

ニューヨーク公共図書館、10億ドルの変革計画 | カレントアウェアネス・ポータル
死ぬほど大雑把に有料化した場合にとられる利用料金を試算してみる - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

ニューヨーク公共図書館はこのほど、変化と拡大を続けるニューヨークのニーズに応えるため、5年間で10億ドル(約1,005億円)をかける変革プランを公表しました。

日本の全公立図書館の年間予算(約1300億円)くらいを使って、変革するみたいです。逆に言えば、ニューヨーク公共図書館が背負うサービスには、それだけの価値があるということですね。

上越市 本持ち寄り町中が図書館 新潟 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

お勧め本を持ち寄って、町中を図書館に――。上越市教育委員会が身近に本のある環境を整備しようと、市内の公共施設や事業所などに本棚を設置する取り組みを進めている。

面白い試みです。読書環境を整備するためには、まずは、身近に本が存在しなければならないというのを実行していますね。日本では、いまいち普及していない BookCrossing が絡めば、もっと面白そう。教育委員会が主導しているので、難しそうですが…。

Google Book SearchのAPI公開――書籍情報が組み込み可能に - ITmedia News

米Googleは3月13日、書籍検索サービス「Google Book Search」のAPI「Book Viewability API」を公開した。このAPIを活用することで、Google Book Searchが提供する書籍プレビュー画面や書籍情報ページ、表紙のサムネイル画面などへのリンクを、各種サイトに組み込むことができる。

Amazon 以外に、書籍の表示画像が使えるようになるのは嬉しいですね。ウェブ本棚サービスを開発する際には、利用を検討したいと思います。和書は少なそうだけど…。

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はてなブックマーク - private.ceek.jp の注目エントリー を見ると、図書館エントリのブックマーク率が高いようです。書き手が少ないのかな…。

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2008年03月07日

論文の複製は図書館で行うべきとか

金曜日は、図書館の話題をひっそりと。

2週間前と同様、著作権法と図書館(+ 大学)の関係を考えてみたいと思います。

「著作権は混迷」「ダメと言ってもネットは止まらない」──東大中山教授 - ITmedia News

デジタルコンテンツ協会のシンポジウムでの中山信弘教授(東京大学)の講演を題材にしたいと思います。題材という言い方は不適切ですが、面白い話題に触れられていましたので。

例えば中山教授が大学の研究室で他人の論文をコピーする行為も、「私的使用の範囲を超えているから」著作権侵害に当たると話す。

実際にどのように語られたのか定かではないですが、恐らく「研究室に必要な論文を複製する」という意味だったのではないかと思います。純粋に「研究室」という場所で複製するだけであれば、私的使用の範囲を超えないと思います(私的使用の複製が複製を行う場所で制限されるのであればご指摘下さい)。

「研究室に必要な論文を複製する」という解釈も難しいのですが、論文の複製を必要とする者が居るのであれば、その複製は著作権法第三十一条(図書館等における複製)に基づき、図書館で複写を行えばよいと思います。

教授 A が論文 B を適切な方法で入手しているという条件で、学生 C が論文 B を必要としている場合、教授 A が論文 B を複製して、学生 C に渡すことは、著作権法上認められていません(中山教授の講演でもこのシーンを想定しているのだと思います)。ただし、論文 B が図書館に存在するのであれば、学生 C は図書館で複写すれば、著作権法上認められる複製になります(研究目的であれば)。

この場合、図書館に論文 B が存在する必要があり(無い場合でも他図書館から取り寄せてもらえるが)、その点を解決する必要があります。多くの大学では、各研究科(各研究室)の図書購入費を図書館に移し、図書館経由で購入することで解決しているのではないかと思います(研究室が半永久的に借りられる制度もあったり)。

あれ。学生 C が、教授 A から論文 B を借りて、自分自身で複製すれば「私的使用」範疇じゃないかな…。ああ。ダメだ。輪講とかで使えないはず。

ここからは、関連する問題提起になります。主要学説を探せば答が見つかりそうですが。

第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる。... (以下略) ...

著作権法第三十五条では、学校での複製に関する規定が定められています。条文の「学校」は、学校教育法に定められている学校であり、「その他の教育機関」とは、職業能力開発促進法で定められた各種職業訓練学校などが相当すると思います(図書館や博物館も含むかも)。

ただ、学校であれば、自由に複製して良いという規定ではありません。「授業の過程における使用に供することを目的」としている必要があります。さて、その「授業」の範囲は何なのでしょうか?

研究室が行っている「輪講」「セミナー」は、第三十五条の「授業」と見なせますか。見なせない場合は、なぜなのでしょうか。また、大学教育における「研究室配属」を「授業」とみなす事は、出来ませんか?

中山教授が、研究室の事例を挙げて著作権侵害に相当すると話されていますが、根拠は第三十条(私的使用のための複製)であり、他の条文に触れられていません。他の条文を根拠に研究室内の複製は合法と見なせるのでしょうか。

問題提起はここまで。また、先ほどの記事に戻ります。

例えば検索エンジンのキャッシュの扱い。日本の著作権法では現状、キャッシュは複製とみなされるため、著作者に無断でキャッシュを作成・蓄積する検索エンジンサーバは「著作権侵害の可能性が高い」。

この「例」を挙げたのは、中山教授ですか?記者(岡田氏)ですか?

ヤフーやグーグルなどは、検索サーバを国外に置いている。

検索サーバを「国外」に置けば、日本の著作権法が適用されないように受け取れますが、日本では属人主義が採用されており、検索サーバを「国外」に置いても運営が国内でなされている限りは、日本の著作権法が適用されると思います。

ヤフーやグーグルの検索サーバが国外にあるのは、運用体制、システム構成上、コストの問題で、著作権法回避という意味は無いと思います。まぁ。一文目と二文目は並べられているだけで、関連付けはされていないので、僕のミスリードかもしれませんが。

本日のまとめ。

・論文の複製は図書館の複写制度を利用する
・著作権法第三十五条の「授業」の範囲はどこまで?
・日本の著作権法は属人主義が採用されています

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信濃毎日新聞[信毎web] 富士見町図書館が個人貸出数10年連続日本一

協会のまとめによると、同館の06年度の総貸し出し数は約31万2000点で、人口1人当たりでは20・0点だった。

この数字は、筑波大学附属図書館における学生1人あたりの貸出数を少し上回ります。

同館は、ソファやこたつを置いてくつろげる環境をつくったり、夜間開館で利便性を高めたりしており、「今まで携わってきた職員たちがアイデアを出し合った成果」としている。

貸出数以外の利用指標も知りたいですね。実のところ、貸出数よりも館内で読んだ冊数の方が大事だと思うのです。欲しい書籍が見つからずに斜め読みし続けているというネガティブなものもありますが、館内で読書するという行動は、館内の快適な読書スペースが無ければできません。貸出数の指標化は、館内サービスを疎かにするのではないかという事もあり、あまり良いイメージを持っていません。

asahi.com:全国初の公設書店「わかば」が閉店へ-マイタウン大分

開店後の数年間は、図書館にも本を納めるなどして、年間売り上げが900万円以上もあったという。しかし、読者の本離れや、旧中津市との合併後は図書館への納入もなくなって売り上げが減少。

図書館に対する販売と、一般販売の売上比較が知りたいですね。いい加減、何でもかんでも「本離れ」に原因を求めるのは止めた方が良いと思います。新聞記者の勝手な想像だと思いますが。

京都新聞電子版 - 滋賀県立図書館、月火の連休へ 来月から、職員の勤務日程考慮
JLAメールマガジン 第385号

滋賀県立図書館は来月から新たに毎週火曜日を休館日とし月、火曜日連休にすることを決めた。

開館日を減らすと、無料貸本屋化が進むような。

開館日が多ければ多いほど、館内サービスを受ける事が出来ますが、少なければ少ないほど、館内サービスを受けることは出来ません。従って、書籍を借りることしか出来なくなり、無料貸本屋化が進むと考えています。

図書館にあって本屋に無いものが「館内サービス」であると考えているので(従って蔵書の充実具合は館内サービスには含まない)、元々館内サービスが無いのであれば、既に無料貸本屋であり、無料貸本屋化では無いですが :p

滋賀県立図書館が休館日を増やして、資料費を確保

現実は、資料費確保のようですね。あれ?新しい書籍を確保する(借りたがる本を増やす)ために館内サービスを削減するのであれば、ますます「無料貸本屋」になるなぁ。

斐川町立図書館:財政難、募金1円も集まらず 図書購入費「みんなで育てて」 /島根 - 毎日jp(毎日新聞)

財政難に苦しむ斐川町が、町民から募金を呼びかけ斐川町立図書館の図書購入費にあてるため「町立図書館図書購入基金条例」を昨年12月に制定した。だが、町の期待と裏腹に、募金が全く集まっていない。

「図書館は無料だから使ってるのであって、金なんか払いたくねーよ、という住民が多いのかな。」と考えたのですが、そもそもニュース記事の内容がよく判らない。

募金箱が図書館の玄関に設置されたのは、2月下旬であり、その募金箱には1円も集まっていない、という事実は理解。記事をよく読むと、他に募金箱が設置してから、遅れて図書館にも設置されたように受け取れます。この受け取り方は正しいのか、また、他の募金箱ではどれだけ集まっているのだろうか。

図書購入費に予算を投入できないのであれば、募金よりも、読み終わった書籍の寄贈を募る方が良いのではないかな。寄贈がどのように行われるかにもよりますが、書籍に寄贈者の名前を入れられるのであれば、色の付かないお金より、自尊心も満足させれそうだけど。

Flickr、有料アカウント1万人分を非営利団体に提供:ニュース - CNET Japan
丸山高弘の日々是電網 The First. : 図書館+Flickr+地域コンテンツ

Flickrは非営利の技術支援団体TechSoupと提携して、1年間有効のFlickr Proアカウント(通常は1アカウントあたり年額約25ドル)1万人分を非営利団体と公共図書館に寄付し、写真を無制限にFlickrにアップロードできるようにする。

面白い試みですが、日本の図書館で Flickr を生かせるところはどれだけあるのだろうか。また、この提供の事実を知っている日本の図書館の数は!?

指定管理者精度を導入している 山中湖情報創造館 で Flickr を導入する動きがあるようなので、注目したいと思います。

「ゆかいな図書館」に2000冊寄贈続々 和歌山・橋本駅 - MSN産経ニュース

同図書館は平成10年9月に駅の待合室を改修して開館された。乗降客が自由に閲覧、持ち帰ることができるシステムで、市民や全国から寄贈された図書でまかなっている。

自由に閲覧などが出来る点もそうですが、全ての書籍を寄贈でまかなっている点を高く評価したいです。実家の最寄り駅(同じ和歌山県)でも同様の事を行っていますが、蔵書数はそれほど多くないです。

世話人の阪口繁昭さんは「読み終えれば返本をお願いしたいが、持ち出しなど自由なシステムは続けたい。そのためには補充本を増やしたい」と話している。

当初の理念を貫く姿勢が素晴らしいです。この姿勢が貫けるのも、全ての蔵書を寄贈でまかなっているからかな。公金に左右されないし、また、事業を通じて寄贈を行ってくれる方々が大勢居ることを知ったのでは。

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自分の本棚の整理をしようと思いましたが、投げ出しました。ウェブ本棚でシミュレーションが必要ですね…。本棚整理のコツとかありませんか?

【関連記事】
図書館における著作権法第三十条と第三十一条とか (2008年02月22日)

【関連情報】
・著作権法
 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html

23:43 | コメント (0) | トラックバック

2008年03月03日

カレントアウェアネス・ポータルに少し失望しました

図書館系の話題を追うようになってから、カレントアウェアネス・ポータルのフィードも購読しています。

カレントアウェアネス・ポータルは、図書館界、図書館情報学に関する最新の情報をお知らせする、国立国会図書館のサイトです。

3月のリニューアルに伴い、旧リソースにアクセスできなくなりました。

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4951

1ヶ月ほど前に取り上げた「インディアナ州の公共・大学図書館の経済効果に関するレポート」という記事のアドレスですが、リニューアルに伴い、アクセスできません。

http://www.dap.ndl.go.jp/node/7272

新リソースは、こちらのようですね。

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/wp-rss2.php

同様にフィードのアドレスも変更されており、旧リソースにはアクセスできません。通常は、ステータス 301 で転送を行いますが、ステータス 404 を返します。内容が更新されずに 200 を返し続けるより、かなりマシですが(Movable Type のアップグレードで index.rdf がそうなってる場合がある)。

旧リソースから新リソースに転送処理を行うのは、場合によっては、難しいことです。今回の場合も、記事 ID が変更されているようで、単純に転送することは出来ません。ただ、新リソースにインポートする段階で、旧リソースとの関連付けが出来るはずですから、転送処理が「無理」ということは無いはずです。

「国立国会図書館」が旧リソースを捨てたまま放置するとは思えませんが、最初から転送などの処理がなされなかったのは、非常に残念です。変な期待を持っていたのかもしれませんが、少し失望しました。ウェブの情報は、あまり重要視していないのかな…。

早期に旧リソースから新リソースに転送処理が行われることを期待しています。少なくとも、フィードの転送は今すぐ行うべきだと思います。

※追記 (3月3日 15:15)

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/wp-rss2.php

フィードが新リソースに転送されていることを確認しました。

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4951

旧リソースは、新リソース(本文の新リソースと別)の一覧ページに転送されていることを確認しました。

http://www.dap.ndl.go.jp/node/7272

新リソース(本文の意味で)は、さらにアドレスが変更されてアクセスできなくなっています。

http://current.ndl.go.jp/node/7272

このアドレスが最終的な新リソース(追記の意味で)のようです。業者にリニューアルを任せたら、意図した結果と異なり、迷走したということでしょうか…。

※追記 (3月3日 15:30)

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/

旧リソースのトップページが新リソース(追記の意味で)に転送されていませんね。Google などで「カレントアウェアネス」を検索すれば、このページが上位に出るので、転送した方が良さそう。また item.php などの旧リソースも転送されていないようです(こちらも検索エンジンによく出てきます)。

関連ページのアドレスを新リソース(追記の意味で)に書き換えました。新リソース(本文の意味で)のアドレス(http://www.dap.ndl.go.jp/)は、国立国会図書館デジタルアーカイブポータル PORTA に転送されます。

アドレス体系がよく解らなくなってきた…。

※追記 (3月3日 23:30)

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4951

旧リソースは、新リソース(追記の意味で)の個別記事に転送されていることを確認しました。ただ、転送先が旧リソースの記事内容と異なっています。カレントアウェアネス・ポータル右上の「Search this site:」で「index.php?id=」と検索し、旧リソースに内部リンクしている記事から、その旧リソースにアクセスすると明らかです。

「item.php?itemid=」の旧リソースも新リソース(追記の意味で)の個別記事に転送されていることを確認しました。こちらは、正しい記事に転送されていると思います。

特定のサイトに対して、ここまで執拗に追いかけるのは気持ち悪いですよね。自重します。

※追記 (3月4日 16:30)

http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=4951

旧リソースは、新リソース(追記の意味で)の正しい個別記事に転送されていることを確認しました。

当サイトは4月にかけて引き続きリニューアル中です。 | カレントアウェアネス・ポータル

旧サイトからの転送設定に誤りがありましたこと、多くの方からご指摘いただきました。現在は修正済みです。

カレントアウェアネス・ポータルからもお知らせが出ていました。さらにリニューアルが続くようなので、期待しております。

【関連情報】
・カレントアウェアネス・ポータル
 http://current.ndl.go.jp/

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2008年03月01日

書籍と雑誌を特定するための方法とか

図書館の話題を必ず「金曜日」に書くと宣言しておきながら、1日遅れました。これでは、信頼を得ることが出来ませんね…。仕切りなおしながら、信頼獲得に努めたいと思います。

今回は、図書館の話題から少し離れ、書籍や雑誌をユニークに特定する仕組みを考えたいと思います。考えたいというか、知りたいのです。ウェブ本棚システム(積読管理システム)の開発を行いたいのですが、何の ID をベースに管理するか悩んでいます(2月29日 発表会)。

書籍は「ISBN」で管理でき、雑誌は「定期刊行物コード」で管理できそうです。従って、基本的に JAN コード(EAN コード)で管理すれば良いですね(ISBN-10 は ISBN-13 に変換する)。雑誌には ISSN コードもあるようですが、号を特定する仕組みではないため、本棚管理としては不適です。

JAN コードは、書誌情報を Amazon.co.jp で取得できるのが大きいです。Amazon Web Services では、JAN コードを指定して検索することは出来ませんが、内部データとして EAN コードを持っており、キーワード検索で取得することが出来ます(ISBN であれば10桁に変換すれば ASIN にもなる)。

ISBN は1981年から、定期刊行物コードは2004年から発行されており、それ以前の書籍や雑誌の特定は、JAN コードで出来ません。また、一般に流通しない書籍(同人誌など)にも ISBN は振られていません。あと、実装上の問題として JAN コードが存在しても Amazon.co.jp に存在するとは限りません。

また、定期刊行物コードは、10年で唯一性が失われます(年情報が1桁しか無いため)。雑誌は10年も続かないこと前提なのか、10年後に新たな雑誌コードを振り分けるのでしょうか。そもそも、唯一性を保障していないのかな。

JAN コードで管理できない書籍や雑誌は、何のコードを使うのが良いのでしょう。国立国会図書館の書誌 ID や国立情報学研究所の NCID も雑誌の号を特定できないようです。古い号も特定できる ID をご存知の方は、是非ご教授ください。

1. 独自 ID (内部用に int 型で管理)
2. JAN/EAN コード (ISBN-13, 定期刊行物コード)
3. NCID

現在は、上記3コードで管理する予定です。外部コードの JAN/EAN, NCID は NULL になる可能性もあります(同人誌ならいずれも NULL になる)。国立国会図書館の書誌 ID を利用しないのは、外部連携性が悪いと感じているからです。

教えて!偉い人!

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ケータイ小説はどこの大学にあるのか? -あるいは、ブックハンティングの副産物? もしくは、GO! WEST- - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

巷のベストセラーがどれだけ大学図書館に存在するのかを調べた続報です。

ケータイ小説は西に多いんじゃない、関東の大学にないんだ。

大学図書館でも東西で大きく蔵書内容が異なるようです。大学に対する考え方が違うのかもしれません。例えば、関東の大学は「日本を引っ張る研究をするために研究書を中心に」と考えており(日本の中心は東京だし)、関西の大学は「難しいことは関東の大学に任せて文化的素養を深めよう」とかね。そんなに単純なものでもないと思いますが。

大学の入学偏差値別に統計を取るのも面白そうですね :p

河北新報ニュース 健康コーナー新設が奏功 仙台・太白図書館、貸し出し急増

来館者の使いやすさに配慮して昨年、貸出窓口近くに設置し今年に入って蔵書の充実も図った。一日で、70冊近く貸し出す日もある人気ぶりという。

利用者が蔵書の選択を図書館に任せている例だと思う。同時に、権力者(国家権力に限らない)が流行を作ることが出来るということも示している。利用者の利便性が上がる反面、利用者の探索能力を下げることにもなりそうで悩むところ。

日常的に利用している人はもちろん、初めての利用者にまた来たいと思ってもらうことが大切。

初めての利用者を寄せ付ける施策としては有効ですね。利用者視点ということもあり、応援したい。

「公文書担当相」新設、上川陽子氏任命へ - 社会ニュース : nikkansports.com

首相は就任前から公文書管理の在り方に関心が強く、1月の施政方針演説では「年金記録などのずさんな文書管理は言語道断」として法整備に取り組む意向を表明していた。

思ったよりも早く動き出して、嬉しい限り。法整備にとどまらず、具体的に動けるところまで持っていって欲しいと思う。公文書保存の専門職創設も進め、その際、司書のあり方にも踏み込まないかな…。

インフォコム、完全Web対応&ニューコンセプトの図書館業務システム「Hello Library (仮称)」の販売開始 - infocom プレスリリース
asahi.com:インフォコム、Web対応の図書館業務システム、システム間連携が容易に - e-ビジネス情報(提供:BCN) - デジタル

情報管理方法の標準化と情報発信の標準化

情報発信の標準化は、業務システムにとどまらず Open Search にも対応していたりするのでしょうか。楽しげなウェブシステムを開発できるようにするため、図書館業務システムを Web API で操作できると良いのですが(図書館のゲートの位置とか)。

PHP研究所の書籍が全文検索開始!:[俺100]
PHP 研究所 - Google ブック検索

PHP研究所の書籍が全文検索できるようになりましたのでどうぞご利用下さい。なお、全文検索は発売から1ヵ月以上経過した書籍が対象となります。

素晴らしい!1ヶ月前に書いたことが、現実になりました(安来市の話題で深めたかったこととか)。

新たにスキャニングしたのか、印刷前データを利用したのかが気になります。また、開始前と開始後で、売上にどの程度影響があったのかも発表してくれると嬉しいですね。

例によって死ぬほど大雑把に公共図書館と大学図書館の選書における1冊/1円の重みを考える - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

例によって「超」がつくほど大雑把ですが、公共図書館と大学図書館の選書における、1冊/1円の重みを見比べてみようかと思います。

活動の物差しとして、お金というのは非常にわかりやすい単位だと思います。もちろん、お金が全てではないのですが、様々な活動にお金が必要ですから、まずは、お金に置き換えてみるのも重要だと思います。

実際に図書購入を進めていくのと、公共図書館と大学図書館がそれぞれ協力して、図書取り寄せを積極的に進めていくのとどちらが効率的なのかも、お金に換算してからこそわかるものだと思います(どちらがいいのかな?)。出版社・著者への還元も考える必要がありますが。

図書購入費の変化は、出版業界の市場規模と連動していると思うのだけど、どうなんでしょう。私たちが書籍を購入しなくなれば、合わせて図書館も購入しなくなるという構図。連動しない状態は、あまり正常とも思えませんしね。市場規模が小さくなっているのに図書購入費が増えているのであれば、公金を出版社に流れてる状態で気持ち良いものではないです。詳しくは min2-fly さんが書くのでは。

「学術図書」を電子書庫通じネットで公開 京大付属図書館など - MSN産経ニュース

インターネットを介して研究成果を広めようと、京都大付属図書館と京大学術出版会が、ネット上に設けた大学の電子書庫(リポジトリ)を通じて、出版会が発行する学術図書の無料公開を始めた。

良い流れだと思います。いわゆる文系の研究者は、研究成果を書籍で出す傾向がある(お金にならない論文で出さない)という話も耳にしており、研究成果にアクセスしやすくなるのではないかな。

筑波大学出版会は、設立してから1年も経過していないので、同様のことを進めてもインパクトがなさそう。

Google時代の図書館建築とは? | カレントアウェアネス・ポータル

スライドの最終ページでは、「図書館は2019年に絶滅する」というビジネスコンサルタントの予測を引き合いに出しながら、市民のモニュメントとしての、書籍の公的な保管庫としての図書館については正しいかもしれないが、図書館を社交の場として捉えると、それはあてはまらないのではないか、とまとめています。

この内容は支持したいですね。この内容が日本の図書館に受け入れられるかは、疑問ですが。

---

プログラマの端くれなので、図書館に関するウェブサービスを考えよう。ウェブ本棚システム(積読管理システム)は、筑波で Project Shizuku が進められていることを考えると二番煎じもいいところ。

【関連情報】
・ISBN - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ISBN
・雑誌コード - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/雑誌コード
・ISSN - Wikipedia
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ISSN
・Webcat Plus
 http://webcatplus.nii.ac.jp/

23:32 | コメント (0) | トラックバック

2008年02月22日

図書館における著作権法第三十条と第三十一条とか

某図書館系 Project のブログは不定期に更新されますが(ほとんど更新されないけど)、本日記では、図書館の話題を必ず「金曜日」に書くと決めています。増やすかどうかは検討中。

目録の著作権はどうなってるの?

先週、図書目録の著作権に関する話を書いてみたので、図書館での複製について書きます。著作権法の第三十条は「私的使用のための複製」に関する条項であり、第三十一条は「図書館等における複製」に関する条項です。

資料には著作権があります

この話題を書こうと思ったきっかけは、筑波大学附属図書館(中央図書館)に設置されたコピー機の前に、第三十一条を根拠に複製できる旨は掲示されていますが、第三十条を根拠に複製できる旨が掲示されていなかったからです(最後に顛末を書いています)。

僕が導き出した結論は、以下の通りです。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

第三十条(私的使用のための複製)は、図書館“で”利用者が行うことが出来ることを規定しています(もちろん図書館以外でも出来る)。

第三十一条 図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。

第三十一条(図書館等における複製)は、図書館“が”行うことが出来ることを規定しています。

すなわち、私的使用の範疇であれば、図書館の蔵書も複製できることが出来る。図書館に複写を依頼すると、必要最小限しか複製できないが、私的使用を根拠に、自身で複製すれば、全てを複製することが可能です。

著作権法では、自分自身のために複製することが出来る規定がありますが(私的使用)、他人のために複製することは出来ません。その例外の一部として、第三十一条が定められているわけですね。

ここから余談ですが(余談の後ろに真面目な内容が)、面白いと思うのは、利用者が第三十条を実現するために、第三十一条を利用することが出来る可能性があるということです。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
  一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合

第三十条では、わざわざ「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」を私的使用の範囲外と規定していることを踏まえると、「その使用する者が複製することができる」というのは、使用する者の労力以外の手段を用いて複製してもよいと解釈できるでしょう(私的使用したいという意思のみが求められ実現方法は任意)。仮に、使用する者の労力によってしか(手書きなど)複製が認められないのであれば(自動複製機器そのものの利用が不可)、この条件を例外にする必要がありません。

以上より、複製手段として「第三者の手」を使うことが出来ます。ただし、法律上、第三者のために複製することを許可していない点に留意してください。

「第三者の手」を図書館に置き換えてみます。図書館は、「利用者が調査研究」の目的の場合だけ複製することが出来ますが、利用者は、それを目的としなくとも、受理することは可能です。第三十一条は、図書館を縛る規定であり、利用者を縛る規定ではないから。結論を言えば、複写申請があった場合、後になって「私的使用目的でした :)」と言わせないために、書面で「利用目的」を明記させるようにしましょう、というお話。

ここまでは余談なのです :)

真面目な内容は、利用者視点からすれば、第三十条と第三十一条のどちらを利用して複製する方が「得」なのだろうか、です。

第三十一条を利用した場合、資料の一部しか複製できませんが、第三十条を利用すれば、全てを複製することが出来ます。とすると、第三十条の方が得でしょうか。必ずしもそうではないようです。むしろ、大学図書館を利用する限りは(研究目的の利用が期待されています)、第三十一条を利用する方が良いでしょう。特に、教員の方々は。

第三十条は、私的使用しか認めておらず、業務に利用することが出来ません。大学の教員は、研究が業務ですから、第三十条で複製した資料は、研究に利用することが出来ません(知的労働は業務とそれ以外が非常に曖昧ですが)。しかし、第三十一条は、調査研究であれば、業務に利用することを禁止していません。極論を言えば、営業会社が地図を「調査研究」目的で複製することが可能になっています(著作権法では利用者を自然人と定義していない)。極論ですので、実際は、図書館が拒否するものと思われます。

前記のポスターを見て色々書いたわけですが、談話室などに置かれたコピー機には、ポスターは掲示されていませんでした。ポスターが掲示されているのは、「文献複写」用のコピー機だけでした。わざわざ分けているのであれば、上記の説明をどこかに書いていても良いと思います(内容が正しいのであれば)。

コピー機は、「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」に該当しますが、附則(自動複製機器についての経過措置)で許可されています。

第五条の二 著作権法第三十条第一項第一号及び第百十九条第二項第二号の規定の適用については、当分の間、これらの規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。

当分の間が、既に20年続いている…。この附則が廃止されると、自分自身が所有するコピー機以外での複製は、私的使用の範疇外となります。コピー機を所有しているか所有していないかで、著作物の利用方法に差が出るのは望ましいものとは言えないでしょう。現に、文書以外の私的使用には、経済格差によって、差が出てるわけですよね…。

権利者側が解答を出すのであれば、自動複製機器の利用による複製は、全て、私的使用の範疇外になりそうですね。利用者側が解答を出すのであれば、複製方法の如何で、私的使用の範疇を変えないことになりそうですね。落とし所は、どの辺になるんでしょうかね。

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
  一 ... (中略) ...
  二 技術的保護手段の回避(技術的保護手段に用いられている信号の除去又は改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合


出版物も電子化を進めれば「技術的保護手段」を埋め込む余地がありますから、そういう方向になるのかな。物理的地図に「技術的保護手段」を埋め込むと言う話もありましたが、法律上の「技術的保護手段」を満たすのは難しそうです(法改正で満たす可能性もありますが)。

図書館だけのつもりでしたが、一般論まで広げてしまいました。やぶ蛇怖い。

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はてなブックマーク - 目録の著作権はどうなってるの?とか - Ceekz Logs

とりあえずうちの所蔵館マップでNIIとNDLの目録読み出してるが今のところクレームはないらしい。

おお。毎回サーバに接続しているのであれば、内容に関するコントロール件を先方に預けているため、クレームが無いという事も考えられますね。何らかの方法で、全コピーして運用すればどうだろう。また、権利上問題が無くとも、サーバ負荷の関係でクレームが付くこともありそうです。

学習席は図書館とつながってても図書館じゃないという位置づけで用意したら,とか思ってたり

コピー機設置などの兼ね合いも考えれば(法根拠の明確性)、そういう方向のほうが望ましいかもしれません。ただ、図書館のラウンジ的なものがあるのが当たり前であると言うのを広げるために、図書館が主体となって欲しいですね。図書館にかかわりの無い僕が言うのもなんですが。

So-net blog:本読みの記録:図書館のラインナップについて物申す

実際のリサーチから仮説まで立てられており、面白いです。

図書館は、社会教育施設というより文化施設と認識されているからではないでしょうか。そのため、文化的書物である小説などが増える傾向があるのかな、と思っています。選書の透明化の一環で、誰が選書したのかを示すのは良いと思います。

米沢市が天地人推進室新設へ 08年度から組織機構見直し - 山形新聞ニュース

今回の改編では、体育課を社会教育課に、図書館を文化課にそれぞれ統合して業務の効率化を図る。

手前の話題と絡みますが、図書館を文化施設の一部として考えている良い例だと思います。公共図書館の管轄部署を調べた調査報告とかは、無いのかな。

World Universities' ranking on the Web: top 4000 World Ranking
つくばリポジトリ(Tulips-R)

国内では、筑波大学がベスト10入りしています。

このランキングは、サイズ(Google、Yahoo等から検索できたページ数)、可視性(総被リンク数)、リッチファイル数(pdf、ps、doc、pptファイル数)、Google Scholarによる各研究機関のドメインにおける論文及び被引用数を評価基準として算定されました。

大学図書館の取り組み如何よりも、検索エンジン最適化(SEO)次第でかなり順位が変動しそう。検索エンジン最適化に関するご相談は、是非私まで!Google サイトマップを利用すれば、かなり優位に立てる気がします。

リポジトリ評価と言うよりも、ウェブサイト評価ですよね。これ。

公文書保存 諸外国並みの本格的システムを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
はてなブックマーク - 公文書保存 諸外国並みの本格的システムを :社説・コラム :YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本の国立公文書館は7年前、行政改革の一環で、総理府の付属機関から独立行政法人に移行した。職員数は41人で、米国の2500人、ドイツの800人、韓国の130人と比べ極端に少ない。

極端に少ないのは、必要性の認識もそうですが、マスコミから叩かれないように…というのもありそうです。あと、職員数で比較するよりも、専門員数で比較する方が良いと思います。

地方公共団体の公文書保存も進めて欲しいですし、公文書になっていない公的機関の書類も保存していって欲しいですね。

中国との比較を忘れている。中国の公文書館数は数千にも上る。

興味深い。

白秋、耕筰が泣いている 消えた網干町歌原本 兵庫 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

地元の自治会は「市の図書館に寄贈した」としているが、当の図書館では「記録が残っていない」と説明しており、貴重な資料のありかは、わからないままとなっている。

市販書籍以外の管理問題として、興味深いですね。誰かが横流ししたり、誤って捨てたり…。

履歴の残る電子データで管理されていなければ、悪意を持った職員が、管理票(表)とともに持ち出すと、追跡が困難になるかも。電子データでも、履歴を消されるとダメだけど。

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素人が書いているので、突っ込み大歓迎です。可能であれば、トラックバックでお願いします。コメントで書かれた場合、初期閲覧者が、突っ込みに気づかない可能性がありますので…。

【関連情報】
・著作権法
 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html

23:31 | コメント (3) | トラックバック

2008年02月15日

目録の著作権はどうなってるの?とか

金曜日は、図書館の話題をひっそりと。

定期的に図書館の話題を書いていくため、カテゴリ Toshokan を準備しました。一般的には Library かと思われますが、海外の図書館と区別するということで…。筑波大学の AC 入試が、海外の AO 入試と区別しているのと同様です。

カテゴリを新設したので、週1回更新を改めるかもです。まぁ。何時まで続くのか…。

検索システムやリコメンドエンジンの研究・開発を行うために、筑波大学附属図書館の目録データが欲しいです。

先週、目録のデータが欲しいと書いたわけですが、その著作権はどうなっているのだろう。目録の集合体である目録データベース(MARC)は、データベースの著作権が認められるのと同様、著作権を有すると思うのですが、小分けされた目録そのものはどうなんでしょう。

目録の作成には、非常に中立性が求められ、「思想又は感情を創作的に表現したも」ではまずいと思うのですよね。また、そうやって作成されていると思います。

ただ、著作権の保護はなされていなかったとしても、民法の不法行為条項で救うことは出来ると思います。記憶に新しいものでは、ニュース記事の見出しがありますね。借りに裁判となれば、同様の判決が出るのではないかと思います。

見出しの無断配信は不法行為、知財高裁が読売新聞の訴えを一部認める判決

デジタルアライアンス社は上告しておらず、判決は確定しています。

結局のところ、社会通念上許されるかどうかかもしれませんね。著作権周りは、特にそう思います。目録に関して言えば、書籍のタイトルに創造性が認められているならば、それを目録に載せることは、権利者の承諾を得られない限り、難しいはずです。うう。これ以上の深入りを止めよう…。やぶ蛇出そう。

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はてなブックマーク - 図書館のゲートの位置とか - Ceekz Logs

「ゲートを蔵書の位置だけに設置する」アイディアとしてはありなんだが借りてない図書を閲覧席で読めないんだよなあ

ゲート内の閲覧席を全て無くす必要は無いと思います。かなり減らしたり、本棚間に椅子を置くという感じを想定しています。通常時の図書閲覧者に対し、過不足無いだけの閲覧席をゲート内に準備するということです。実質は、図書館を正当に利用する者に対しての制限はかからないはずですが、制限されたように感じられるでしょうから、反発は大きいと思います。また、過不足無い数を求めるときにも一悶着が予想されますね。

筑波大学中央図書館に関して言えば、自動貸出機も整備されているので、ゲート外の持ち出しもそんなに苦にならないかな…と思ったりもしていますが。ただ、今まで無かった「苦」を作りますから、やはり反発が…。

図書被害多発にどう取り組むか…切り抜き、書き込みなど - 鹿児島 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
中日新聞:本が“泣いています” 伊勢図書館、痛々しい破損15冊展示:三重(CHUNICHI Web)

約78万冊の蔵書がある市立図書館では、2006年度に約80冊の一般図書や雑誌が被害に遭った。

来館者数、貸出冊数、新書数などが書かれていませんが、かなり少ないというのが正直なところです。毀損される書籍は、最近出版された書籍が多いのではないでしょうか。利用者は、新しい書籍に対し、保存という概念を見出しにくいのではないかと思います。

職員は修理に専用ののりやテープを使うが、利用者が市販のセロハンテープで修理すると劣化して黄色く変色するため逆効果という。

毀損してしまった場合に、申し出やすい雰囲気も必要ですね。毀損に厳しく対応するあまり、保存するという目的の逆効果になる場合もあるでしょう。引用の事例は、その代表例かと思います。モラルバハザードを招く可能性もあるのですが、毀損した書籍を匿名で入れることが出来る箱があっても良いかと。

asahi.com:大学図書館の蔵書、学生が選ぶ 西日本の大学に広がる - 関西
「柔軟な本選び」か、それともただの責任放棄か - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

大学図書館が購入する本の一部を学生たちに書店で選んでもらう「ブックハンティング」が、西日本の大学を中心に広がっている。ベストセラー小説や旅行ガイド、実用書など、これまでの大学図書館にはあまりなかった本が次々と蔵書に加えられている。

そういう書籍は、大学図書館に必要なのでしょうか?大学図書館に必要な書籍は、一般の書店で手に入りにくい書籍だと思うのだけど。個人的には、投資できるだけの余裕があるのに、自分に投資できない(書籍を買わないとか)人は、何をやってもダメだと思います。飛躍しますけど。

・・・ぶっちゃけ、ベストセラー入れるより1年次の必修/通年の授業で毎週図書館で本借りないと完成できないようなレポート課す方が貸出数も伸びるし教育効果も高いと思うけどね。

情報収集というと、インターネットに偏りがちで、図書館の使い方を知らない学生も多いのじゃないのかな。図書館の使い方を実践的に学べる科目の開設は、必要だと思います。リサーチ方法の幅を広げるためにも。

asahi.com:ジュンク堂書店池袋本店、“連想検索”で本を探すシステム導入 - 日刊工業新聞ニュース - デジタル

在庫本だけでなく、競合関係にある古書店や図書館の所蔵がチェックできる。

利用者視点に立っており、非常に良い試みだと思います。導入後の成果を、図書館情報学系の学会で発表されればと思いますが、難しいかな…。逆に、公共図書館の蔵書検索システムで、書店の在庫情報を検索できる日は来るのだろうか…。千代田区立図書館が行っていたっけか。

自動車図書館廃止へ/那覇市、財政難で本年度限り 沖縄タイムス
はてなブックマーク - 自動車図書館廃止へ/那覇市、財政難で本年度限り 沖縄タイムス

地方公共団体の財政難により、公共図書館のサービスが縮小される例ですね。

人口30万人、市域40平方キロメートルに、すでに7つの市立図書館がある。

既に過剰サービスであった可能性もあります。ただ、公共サービスにおいて、図書館そのものが過剰サービスであるという考え方も成り立ちます。

大きく変わった「図書館無料の原則」の意義 - Copy & Copyright Diary
貸与権とマンガ喫茶 - Copy & Copyright Diary

これは図書館界全体が、貸与権について、明確な反対を打ち出さなかったツケである。

貸与権の存在は知っておりましたが、明確な反対を行っていなかった事実を知ったのは、有料化の可能性を調べているときでした。その時、「ああ。公共図書館は無料以外に選択肢を作らないつもりだったんだな。公金で安泰と思っているんだな。」と理解しました。

図書館サービスの有料化を語るのであれば、有料化した後、どのようにして図書館サービスを行えるようにするのかをきちんと示して欲しい。

貸与権を逃れる方法としては、漫画喫茶のように貸出を禁止するような方法があると思います。図書貸出の意義をよく理解していない僕としては、今のところそれでも良いと思うのです(場としての図書館サービス充実とセットだけど)。しかし、漫画喫茶が図書館と呼ばれないのと同様、図書貸出の行われていない図書館は、図書館と呼ばれないと思います。そう考えた場合、図書館のアイデンティティは「図書貸出」なのかな…と。

ま。机上の空論ですかね。図書有料化論よりも、公共図書館不要論にシフトした方が楽かなぁ。大学図書館に関しては、大学設置基準がらみで、また別に書きます。

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最近、少しだけ図書館ブロガーと認知されてきたという噂。でも、日記書きなのでブロガーではありません :) 海外のブログと区別しようと思っててね。

【関連記事】
図書館のゲートの位置とか (2008年02月08日)

23:49 | コメント (0) | トラックバック

2008年02月08日

図書館のゲートの位置とか

金曜日は、図書館の話題をひっそりと。

書籍の倉庫としての図書館と、利用の場としての図書館を上手く両立できないものか。少し考えがあるのですが、そのうち別のエントリーに。

先週は、こんなことを書いていました。浅はかな考えですが、ゲートの位置を工夫することで両立できるのではないかと思っています。筑波大学附属図書館(中央図書館)を題材に。

早い話、書籍を置いている倉庫的な場所にはゲートを設置し、机などを置いているラウンジ的な場所にはゲート無しで入れるようにしたら良いのでは、ということです。図書館にラウンジが必要ないという意見もあるでしょうけど…。

そもそも筑波大の附属図書館は滞在型の図書館を目指すべきなのか、ってのが焦点の一つかと。

図書館の来館者数を指標にする場合、ポジティブな来館とネガティブな来館を分ける方が良いとの事でした。「学習用途で図書館の机を利用する」という行為がポジティブな来館であり、「わざわざ図書館で書籍を探す」という行為がネガティブな来館であるならば、ゲートを蔵書の位置だけに設置することで、区別して数えることが出来るんじゃないかな。

ゲートを蔵書の位置だけにすると、図書館に入る行為(まずはラウンジにたどり着くことが前提)の精神的障壁が下がります。また、書籍とラウンジを分離することで、飲食をある程度認めることが出来ます。そうして、トータルの来館者数を増やすことが出来るのではないかと思うのです。

ゲートの外に珈琲屋を置くよりも、図書館離れ防止の効果があると思うんだけど、甘いかな。本を借りない人や読まない人を図書館に集めるのを嫌う人は多そうですけどね。

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筑波大学学群学生の情報リテラシーに関するアンケート調査
(学内向け?)「筑波大学学群学生の情報リテラシーに関するアンケート調査」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

筑波大学の学群生向けに「情報リテラシー」に関するアンケートが実施されています。ただ、アンケートそのものが情報リテラシー的にまずいのではないかと思います。

1. 連絡先が tsukuba.ac.jp ではなく gmail.com になっている
2. 引用に関する大問で関係の無い小問が含まれている(3-5)
3. 設問の連続の兼ね合いで質問内容が不適切(5-5, 5-6)
4. 自由回答欄を空白に出来ない(6)

あなたは図書館に行くのが好きですか? 好きだとしたら、次のうちどこに図書館の良さを感じますか?

min2-fly さんは、「附属図書館」を前提に回答したようですが、恐らく「公共図書館全般」について問う設問です。根拠は、手前の設問「次の図書館のうち、あなたが最も頻繁に利用するのはどの図書館ですか?」の選択肢として、公共図書館(つくば市立図書館)が含まれているためです。公共図書館が含まれていなければ、用語の省略と捉えることが出来ましたが、含まれている以上、用語を区別していると判断するのが筋かと。

教員の代わりに学生が設問を考えたのだと思いますが、教員の方は確認しなかったのかな…。

筑波大:図書館離れ防止にスターバックス誘致 /茨城 - 毎日jp(毎日新聞)

大学が学生の図書館離れを防ぐために誘致した。

単に設置するだけでは、そんなに効果が無いと思う。レファレンスデスクをスターバックスの横に設置すれば、司書を身近に感じることが出来そうだけどどうかな。

教育学類1年の男子学生(19)は「学生はコーヒーをしょっちゅう飲めるほど金がない」と冷ややかだ。

否定しない。むしろ、最大限に肯定。

図書館併設に限らず、深夜まで営業するショップが学内に欲しいです。理工学系学生共通の願いです。多分。

「図書館以外は不要」橋下氏、大阪府施設の廃止・売却検討 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

橋下氏は「図書館以外、基本的にはすべて必要ない」との持論を説明。

図書館を必要とする理由が知りたいです。財政難の状況であるにもかかわらず、公金を投入し続ける明確な理由があるならば、全国各地の公共図書館の追い風になると思います。また、その「理由」が僕の求めているものそのものだと思うのです。

「府民が必要としているから」は、対象外とさせていただきます :p

金曜ロードショーに「耳をすませば」登場 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

日本テレビは、2月22日の「金曜ロードショー」(後9・03)で、スタジオジブリ作品「耳をすませば」(1995年)を放送する。

この日に Project Shizuku が重大な発表を行うという噂です。ソースは脳内。

[無料図書1万6000冊に市民殺到 県立図書館が一時大混乱] - 大分 (大分,日田) - 西日本新聞

大々的に「無料サービス」を行うと、利用者が適切な対価を払わなくなる可能性があると考えています。また、中古本屋に文句をつける方々と、どう折り合いをつけたのかも気になります。

「猫の司書さん」に会ってきたよ! - 図書館退屈男

完成品を触ってみたい!

「よくできたシステムだと思うが、実業務にはまったく使えない印象を受けた。発注機能もない、MARC非対応では論外。」という手厳しい意見もあり。

現場の方がどういう方向を向いているのが良く解りますね :) 厳しい意見が欲しいという前提が無ければ、ナンセンスな事だと思います。

実業務用のシステムが API などでオープンになれば、このような「利用者向け」の面白そうなシステム開発を促進できるのでは無いかと思います。効率面を考えれば、一業者が全てを行うのが良いですが、業務部分からサービス部分までを「上手」に作ることが出来る業者は、かなり少ないのでは。

検索システムやリコメンドエンジンの研究・開発を行うために、筑波大学附属図書館の目録データが欲しいです。データを貰うのは難しそうなので、クローラを書いてみたのだけど…。別エントリーで何か書きます(TULIPS の蔵書検索システムは設計がまずい)。

草津市のまちづくりアイデア 立命大院生が提言 - 京都新聞

若者が長時間滞在しやすいギャラリーや図書館機能を持つ喫茶店の設置などを提案

最初に書いたゲートの話題にも関連するかな。

図書館機能を持つ喫茶店の設置は良いですね。何が良いかというと、司書の就職先が、図書館以外にも広がることです。スターバックスが専門職である司書を求める時代が来ても良いのではないかと。まずは、筑波大学附属図書館に併設するスタバで実現して欲しいですね。

インディアナ州の公共・大学図書館の経済効果に関するレポート - カレントアウェアネス・ポータル

日本の公共・大学図書館の経済効果に関するレポートは無いのかな。

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長くなりすぎだ…。週2回書くなり、各々を独立させることを検討しよう。

【関連記事】
安来市の話題で深めたかったこととか (2008年02月01日)

【関連情報】
・来館利用が増えることは(少なくとも筑波大にとっては)必ずしもいいことではない・・・とかなんとか - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
 http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20080117/1200597131

23:14 | コメント (2) | トラックバック

2008年02月01日

安来市の話題で深めたかったこととか

図書館の話題はひっそりと。

先日、安来市が図書館に文献の一部削除を要請したことを取り上げたのですが、思ったより話題が広がりませんでした。利用者履歴の話題の方に移ったというのもあるのですが…。

閲覧制限ではなくページの削除を要請したのは、発行者が「安来市」であることも影響していると思う。

著者や出版社が自著の情報(書かれている内容)をコントロールする権利をどの程度有していて良いのか議論が広がれば良いと思っていました。広がりをみせなかった所を踏まえると、そんなに有しなくて良いよ、というのが大半なのかな。

もう少し踏み込むと、公文書の管理が「地方公共団体」に任されているとすれば、同種の文書(今回の文献に近いもの)は、内々で破棄されていたり改ざんされていたりする可能性が高い(誰からも非難されずに忘れ去られていく)と思うのだが、実態はどうだろうか。

週一回のペースで、図書館の話題を書こうと思うのですが、なかなか難しいですね…。

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図書館での貸出記録の保存をめぐって−行政は説明責任を果たし、市民は慎重で冷静な議論を - ACADEMIC RESOURCE GUIDE

発端から数日たち、議論が広がっていますが…。

書籍の破損防止のために、個人の利用者履歴を使うというのであれば、非常にナンセンスだと思います。利用履歴を基に、破損を行った可能性の高い利用者を注意するというのであれば、ますます「窓口でトラブルになるケース」が増えることでしょう。

公共図書館の貸出件数は、販売点数を上回るということですので、利用者履歴を有効活用すれば、素晴らしいリコメンドサービスが行えるのではないかと思っています。販売のリコメンドは、どうしても「新書」に偏ってしまうため、図書館の利用履歴であれば、少し古い書籍も上手くリコメンドできるのでは無いでしょうか。

僕は、そういったリコメンドサービスよりも、自身の貸出履歴を恒久に知ることが出来れば嬉しいですね。10年前に読んだ書籍は何だったか知りたいし、電子化を進めて、今まで借りた書籍の内容を検索することが出来れば非常に便利。自分専用の「電子知識データベース」を作るような感覚で。

電子化に関して言えば、出版者の協力を得られれば、新書の電子化は容易そうだけど…。印刷前の最終原稿は、電子データになっていると思うのだけど、どうでしょう。また、利用者視点に立てば、古書よりも新書が電子化されているほうが嬉しいですね。

一部の公共図書館について泣き言を言うよー\(^o^)/ - 図書館学徒未満

今のダメ図書館にお金と権力を与えたとして、本当に問題が解決するの?

非常に同意できる内容でしたし、疑問の原点です。教育との比較も面白いです(比較的教育の方が知識があるので)。

今の図書館がよくならないのは、型が決まりきっているというのと、図書館を変えたいという方(図書館情報学系の研究者とか?)が途中まで頑張るのだけど、変えられない現実に気が付き、諦めてしまうかららしいですね。

図書館の貸出におけるデータマイニング - 永字八法
社会のお時間―公立図書館ってどんなところ? 〜明るい未来溢れる図書館〜 - 永字八法

ユーザーである図書館員にそういうデータマイニングの意識・技能がないせいもあるだろうが、年報に記載するためのグラフ作成プログラム程度の位置付けでしかない。

非常にがっかりしているのですが、図書館が「附属サービス」としてしか成立しないのであれば、仕方が無いと思います。そういう意味でも、図書館の「独立」に興味がありますが、様々な事情により、独立は難しいようですね。

法規制により図書館の専門員の割合が決められる日が来るのか、独立により専門員が増える日が来るのか、注目ですね!多分、どちらも実現されないのだろうけど。

貸出履歴だけじゃない、俺の複写申請書だって漏洩してくれるなよ、とかなんとか - Tohru’s diary

貸出履歴の破棄云々は、利用者からの要望に従ったものなのか興味があります。戦前の思想検閲の反省に基づいていると思うのですが、そろそろ利用者に選択させても良いのではないかと思います。検閲、漏洩は、情報の保持そのものによって行われるのではなく、情報を扱う者によって行われるのです。

やはり米国でも読書離れ - 丸山高弘の日々是電網 The First.

利用者の求めに応じ、ニーズに答えるためには、それに必要な蔵書構成がやはり必要だと思う。

ニーズを拾う仕組みを考えていく必要があると思います。

利用者履歴は、どの「分野」の情報が求められているか判ります。希望図書申請は、どの「書籍」が求められているか判ります。蔵書検索システムの検索履歴は、どの「キーワード」が求められているか判ります。

筑波大学の学生希望図書は、月1冊しか申請できません。また、予算を超えると申請そのものが出来なくなります。そのため、ニーズ調査という面では、不十分だと考えています。希望しても期待に応えられない場合があることを説明し、月1冊などという制限を撤廃して、ニーズ調査を徹底的に行った方が最終的には、利用者の利便性向上に繋がりそうです。

図書館には、利用者の様々な情報が集まっています。コンプライアンス強化を進め、情報の有効活用が行われるようになって欲しいですね。

つくばリポジトリ(Tulips-R)

「つくばリポジトリ」は筑波大学で生み出された研究・教育成果(学術論文・博士論文・研究報告書・教材など)を永続的に蓄積・保存し、インターネットを通してどなたでも無料でアクセスできるように公開する学術コンテンツデータベースです。

学士論文も閲覧できれば、卒論を書くときの助けになりそうです。

ところで、図書館情報学系の論文が、非常に少ないのは気のせいですか?発表論文数が少ないだけですか?

大学設置基準厳しく 中教審分科会が検討 - 中日新聞

中教審では今後、専任教員の勤務条件の明確化や、図書館の保有冊数などについて基準を設けることなどを検討する。

ますます「図書館」が本の倉庫になってしまう…。また、情報は「書籍」であるという概念から抜け出せていない。図書館を設置基準に含めるのであれば、専門員の数と割合だと思う。ただ、そもそも大学附属図書館は、自然発生的に成立するのが筋ではないかな。

【2ch】ニュー速クオリティ:図書館司書だけど質問ある?

司書の仕事が、世間からどのように理解されているかがわかって面白い。予想通りですが。

でも日本の司書はアメリカみたいに、自分じゃなきゃ出来ない仕事してなくね?

もともとは、司書が「図書館」の専門員としても技能を有していないと思っていました(単なる本好きと捉えていた)。そういう側面もあるだろうけど、現在は、専門員を受け入れる体制が整っていない方が問題であると考えています。

後期テスト突入、にぎわう図書館 東広島市鏡山 - 中国新聞

普段の約一・六倍に増える。

どこの大学も似たような状況かな。来館者数だけではなく、滞在時間の比較・検討が行われると面白そうですね。

「量子力学」の勉強中だった理学部二年野口智明さん(21)は「集中できる場が長く使えてうれしい」と話していた。

図書館が物理的に設置される以上は、このような利用者が日常的に増えるような取り組みを行うのが健全だと思います。書籍の倉庫としての図書館と、利用の場としての図書館を上手く両立できないものか。少し考えがあるのですが、そのうち別のエントリーに。

「この本はわしが選んだ」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
はてなブックマーク - 「この本はわしが選んだ」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

ある本を選書した方が、他にどの本を選書したのか知りたいですね。書評を基に書籍を購入することが殆どなのですが、書評の内容とともに、誰が書評を書いたのかということも重視していますから。

面白いけど今の公共図書館で単純導入すると資料課の司書は貸出数のみで勤務評定される悲劇が起こるかも…。

利用者ニーズに応えることが図書館の役割の一つであるならば、そういう指標を勤務評定に加えることは推進されるべきでしょう。ただ、現状の公共図書館に導入すると、そういう指標に偏りそうで怖いですね。

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疲れた…。毎週金曜日にまとめることを目指そう。

【関連記事】
安来市が図書館に文献の一部削除を要請 (2008年01月15日)

10:41 | コメント (4) | トラックバック

2008年01月15日

安来市が図書館に文献の一部削除を要請

島根県安来市が、島根県内の公立図書館に対し、文献の一部削除を要請していたことが明らかになった。

島根県安来市の「安来市誌」(1970年発行)と合併前の「伯太町史」(62年発行)に差別を助長する部分があったとして、安来市が県内の公立図書館に、この2冊を所蔵している場合、当該ページを切り取って市に送付するよう求めていたことが13日分かった。

図書館がこの要請に従い、ページを切り取るようなことがあってはならないが、安来市がこのような要請を行ったことは、理解できる(当然だが肯定しない)。図書館の役割や文献の意味を理解していないという意見もあるだろうが、一般の「理解」は、この程度のものでは無いかと思う。

時代とともに何が差別であるかという意識は変わるものである。現在の物差で過去をはかることはあってはならないが、ある程度の配慮を行う必要もあると思う。また、今回の要請は、今後、法的処置を受けることを回避する意味合いもあるのではないか。

閲覧制限ではなくページの削除を要請したのは、発行者が「安来市」であることも影響していると思う。「閲覧制限を要請すること」は、図書館に対する圧力であるが、「書籍の一部を削除して欲しいという要請」は、著者への圧力であり、即ち、自分自身(安来市)に対する圧力であると解していても不思議ではない。

現在は各図書館とも一般の閲覧はできないようにしている。

結局、閲覧制限という処置になった模様。妥当だと思う。

ところで、一般的な図書館は、貸出履歴を保存していないらしい(返却時に抹消)。ということは、都合の悪い部分を勝手に破り捨てても、誰が破り捨てたのか確かめる術は無いのではないか。文献の価値と人権を天秤にかけたとき、どちらが重くなるかは人それぞれだが、いかがだろうか。

さて、こういう記事があると、実際に「何」を削除しようとしたのか気になる。

検索結果

筑波大学附属図書館に存在することが判った為、実際に読んでみた。

安来市誌

館内でメモして帰ろうかと思ったのだが、思ったよりページ数がある。昼休みに来館したこともあり、読むには時間が足らず、借りることに。旧東京教育大学の蔵書も普通に貸出可能なのに驚いた。

くっついてる

糊のようなものでページが…。慎重に捲りながら読む。

市人権施策推進課によると、安来市誌は歴史について記述した複数のページで、被差別部落の地名を掲載。

報道を頼りに調べてみたところ、それらしい記述を P.210, 211 に見つけた。1862年の「鉢屋(非人)」の説明と村ごとの人数が記載されている。って、さすがに150年前の出来事を「差別助長」と言うわけ無いよね。今回の「削除要請ページ」は別のページであると思うが、力尽きた…。

このときにあたり発行した安来市誌は、これまでの郷土のあゆみを正しく理解し、先人の努力をたたえるとともに、その歴史を次代に伝える私たちの記録であると信じます。

安来市誌の序に書かれていた言葉。削除を要請した担当課は、この言葉を今一度見直して欲しい。また、今回の要請そのものも「歴史」の一部と記録して欲しいと思う。

【関連情報】
・郷土史、異例の削除要請 図書館に「差別助長」と - 東京新聞
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008011301000203.html
・郷土史に差別表現 安来市と旧伯太町 図書館で閲覧制限に - 読売新聞
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20080113-OYT8T00386.htm

19:42 | コメント (0) | トラックバック

2008年01月12日

図書館の話題はゆっくりひっそりと

昨年末から図書館について考えていたのですが、少し休憩しようと思います。疲れた…。

日本の図書館に関する費用対効果などを示したデータが欲しいと思ったのですが、図書館界隈の方々は認知していないようでしたので、自分で探してみようと思います。探す傍ら、ネタを見つけたら、コメントを書くような感じで。

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図書館の自由に関する宣言

図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。

自分のエントリの中で、知る自由と書くべきところを知る権利と書いているところがありました。「知る権利」は、娯楽的利用よりも情報公開などの公的な雰囲気がありますね。

「知る権利 ⊆ 知る自由」の関係かな。とすれば、公文書の管理も「図書館」で良さそうだけど…。でも、図書館は利用者に優しい施設であって欲しい。公文書や貴重書の保管を公文書館が担い、その電子データの閲覧が「図書館」で行えると良いのかも。

権力からの独立を謳う割には、公金運営を前提としているのは、矛盾するように思える。そうでもないか。

死ぬほど大雑把に有料化した場合にとられる利用料金を試算してみる - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

すごく (・∀・)イイ!! 試算。

で、2005年の入館者数が103万6752人であったので、単純に割り算すると・・・770.435938円!

滞在時間が2時間を越えれば、漫画喫茶と変わらない金額。館内で飲食可能であり、快適な椅子があれば払います。

この結果からさらに逆算すると構成員全員が年間45回くらい利用するとすれば年会費モデルと来館利用モデルがイーブンになる。

来館者数目標設定として、こういうアプローチはありだと思う。また、目標としても現実的な数字のような気がする。

それは、図書館があった方が安くつくからだよ - かたつむりは電子図書館の夢をみるか

まあ結局「情報資源の共有」っていう根本に立ち返るわけだが…限られた資源の効率的運用は組織運営の基本だしね。

各研究室が購読しているジャーナルを図書館が調査を行い、効率化を働きかけてるんでしょうか。

もっとも、図書館員の役割って点だと…日本の場合、研究者は「本来ライブラリアンの仕事」である「特定サブジェクトにおける文献状況の専門家」であることを研究者自らがやってきた、っていう指摘もあるので*6難しいところもあるけれど…

RA の雇用を図書館が行うモデルがあれば、マシになるのかな。また、例えば、社会学の研究で利用するデータの収集は図書館などの第三者が行うべきだと思う(既にやっていると思うが)。分析する研究者が生データを収集すると、分析の信頼性に疑問が…。

センター試験対策 県立図書館で講座 - 読売新聞

2008年度の大学入試センター試験を2週間後に控え、秋田市の県立図書館では5日、試験対策講座「『センター英語』に克つ」が開かれた。

7月から定期的に行われていたようです。必要な経費は、誰が負担したのだろうか(図書館 or 参加者 or 館長)。塾に通えないような人が無償で受けられるとすれば、教育の一端を担うというモデルが確立できるかも。

国立国語研究所図書館廃止? - 茗荷バレーで働く社長の日記

図書館のみの廃止という点で、気になります(まだ決定ではない)。廃止した場合も蔵書は別の図書館に移ることが想像できますが、専門図書館(研究図書館)不要のメッセージが出てきますね。文科省もそうですが、今後の図書館関係者の行動に注目したい。

公文書管理を法制化へ、誤廃棄・紛失を防止 - 読売新聞
社説2 公文書管理、まず法整備急げ - 日経新聞

政府は、各省庁が必要な公文書を誤って廃棄・紛失する事態を防ぐため、文書の作成から保存まで一貫した手続きを定める「文書管理法」を新たに制定する方針を固めた。

同時に「公文書館」が法制度化されると良いと思う。

国会図書館の本、全国で閲覧可能に・3000万冊をデジタル化 - 日経新聞

貴重な名著をいつでもどこでも読めるように――。3000万冊を超える国会図書館の蔵書をデジタル化して全国で閲覧可能にするための法改正に政府が着手する。

著作権法の再改正でもめそうな予感。むしろ、経済産業省の進めている「大航海プロジェクト」で進める案件だと思うのですが、独立して行うのでしょうか。

知的財産戦略本部−(第18回)議事録
2007年度 有識者本部員会合(第1回)議事要旨
知的財産推進計画2007

国会図書館の蔵書の電子化について調べてみると、徐々に具体化している様子がわかります。インターネットで見られることには、既に Google ブック検索 で見られるようになってるかもね。

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と。はてなブックマークの整理でございます。

ところで。筑波図書館系を開きたいのですが、主賓となる min2-fly さんの連絡先がわかりません。学内から日記を更新しているのでしたら、情報発信に関するガイドラインに抵触する可能性がありますので、お気をつけ下さい。

ユーザ(利用者)は,インターネットに公開する情報について責任の所在を明確にし,全ての責任を自ら負う.

まぁ。友人の milkya さんに調整をお願いしているので、そのうち開催されるでしょう。ええ。きっと。信じてます。

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2007年12月28日

公立図書館運営費は医療費にまわそう!

素人が図書館に喧嘩を売るエントリーの第二段です。著者は、図書館の素人です。しかし、著者はサーチャーを支援するシステムを造りたいと思っています。図書館の司書は、サーチャーの役目を負っているものだと思っていましたが、どうも「単なる本好き」の集団な気がしてきたところから、現在の図書館に疑問を感じるようになりました。そこで…。

「後で考える」メソッドを利用して、後回しにしていました。

min2-fly 氏にお返事を頂きましたが、心の霧は晴れませんでした。また、関連するエントリーが色々なところで書かれましたが、やはり霧が晴れません。もちろん、僕の性格に起因するところもありますが…。

無償の根拠として「知る権利は大事なものだから誰もがアクセスできるようにするべき」と考えていらっしゃる人が多いようです。素晴らしい!でも、生存権の方が優先されて欲しいので、図書館の運営費用は、医療費に全額移行しては如何でしょうか?

医療費に全額移行するというのは極端ですが、昔から「無償」で行われていることが、果たして「有償」「無償」論を経ての結果なのか興味があります。即ち、無償で行うことを前提している、無償で行うということで思考停止している状態では無いでしょうか。

文化以前に生きていくために(この場合は「最低限の生活」を送るためではなく、一定レベル以上の教育を必要とする職業に就いたり、生活上直面する場面で適切な選択ができるだけの情報を得るために)必要な情報を入手するところとして捉えられているからこそ図書館は無料なんだろう*3。

これは、アメリカの例のようですが、教育の機会が保障され、また、教育制度が整っている日本では、少し無理のある議論のような気がします。薄々感じていたのですが、「(日本の)図書館」と「(諸外国の)ライブラリー」は大きく概念が異なるのではないでしょうか。図書館の現場の方々は「図書館」を語り、研究者や図書館情報学を学ぶ方々は「ライブラリー」を語っている雰囲気があります。

「ライブラリー」が「無償」だから「図書館」も「無償」にしたよ!というのであれば、そろそろ再考しても良いのでは無いでしょうか。日本と諸外国では、文化や状況、関連事業の整備具合が大きく異なっていると思います。

「有償論」を掲げた一番の理由は、図書館の評価方法がどのようになっているのだろう…という疑問からです。また、評価方法があるにしても、運営のモチベーションとして有意義なものかどうかも気になります。それらを解決する一手段として「金」を挙げてみました。

また、筑波大学特有の事例ですが、大学図書館には、多くの机や個室があります。しかし、利用率が高いのは「試験前」だけであり、それ以外の利用率は、極めて低いです。空間が非常にもったいない!一部(清掃費?)を利用者負担にして、快適な環境(利用の自由度を上げる)を提供することが出来れば、利用者が増え、空間の無駄が無くなるのではないかと考えています。

博物館は図書館と違ってオリジナルかどうかが重要です。学芸員の方は一点ものの重要資料を各方面からお金を出して借りてくるわけです。

図書館と博物館の違いとしては、付加サービスの違いが挙げられていました。非常に興味深いです。博物館も「原則無償」であるにもかかわらず、付加サービスにより「有償」を実現していますが、図書館には、そのような取り組みが見られません。図書館は「保存」という重要な任務を担っていると主張するにも関わらず、歴史的に重要な書物は、博物館に奪われている(資料から史料に)のでしょうか。

図書館といえば、なぜか「公文書館」とセットで語られることが多いようです。貴重な書籍や公文書を保存するための「公文書館」は、明確に独立するべきだと思っています。もうね、図書館の運営費を奪い取ってでも独立すべき。制度整備が全くといって良いほどなされていないようですが、制度整備に向けた動きはあるのでしょうか。

あるいは比較的最近できたところで有名なのはアカデミーヒルズ六本木ライブラリー。

アカデミーヒルズ六本木ライブラリーのアイデンティティ(小林麻実)」という論文を紹介していただきました(2006 情報の科学と技術 56巻2号)。読んでみたいと思います。

結局、図書館の役目は何なのでしょう。図書館が無償で運営されている理由よりも、図書館が運営されている理由を考えるのが先ですね。「知る権利」や「本を読めること」が重要なのであれば、司書の皆さんは、書籍をスキャナに当てる日々を送っていそうですしね(書籍の電子化)。

根本に「図書館運営の怠慢」を感じていることが、現在の思考の原点です。素晴らしい理念を持っており、共感を得られるのであれば、例えば、各都道府県立図書館くらいは、国会図書館と同様に、出版社から無償で献本を受けられる制度に出来たのではないか。そういう方向に運動したのだろうか。

筑波大学の同窓会である茗渓会は、理想の学校を目指し「茗渓学園」を設立しました。旧図書館情報大学の同窓会である橘会(茗渓会の支部)が「橘図書館」を設立する日はやってくるのでしょうか。

と。妄想混じりに考えていることを色々吐き出しました。数日すれば、吐き出したら無い妄想が出てきそうですが…。筑波図書館系忘年会・新年会が開催されるのでしたら、ぜひ同席したいと思います。

読み直すと、疑問系ばかりだ。フルボッコされる予感。

【関連記事】
表面的な注意では気づかないこと (2007年12月05日)

【関連情報】
・[図書館]「なんで図書館は有償じゃないん?」とか「有償じゃないと利用者増やすメリットないん?」とか
 http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20071216/1197790117

21:35 | コメント (4) | トラックバック

2007年12月05日

表面的な注意では気づかないこと

2種の話題が混在してる。後半の話題に対する意見は、特に歓迎。

表面的な注意というものは、心に響かないことが多い。注意されるという事象そのものが、見知らぬ他人に言われるということでもあるが、その「根拠」が示されないというのも大きいと思う。

図書館の飲食禁止はなぜだろう。僕は、今まで「書籍を汚さないこと」が主な理由だと思っていた。

ゴキブリ等害虫の問題を考えれば食品はやっぱ持ち込ませたくないところであるが、

かたつむりは電子図書館の夢をみるかを見てから、書籍を汚さないことよりも、害虫を寄せ付けないことが主な理由に思えるようになった。借りた本を飲食物を摂取しながら(自宅で)読むことを禁止する「マナー(ルール)」が、図書館での飲食禁止ほど聞かないということから(と言うか今まで聞いたこと無い)、図書館だけ飲食を禁止するのは無意味ではないかと思っていたのだ。

理由を示すということは、それさえクリアできれば良いという行動に走られる危険があるが、やはり、理由を知らないと、心に響かないな…。社会生活を円滑に行うためには、理由を知らなくとも「ダメなものはダメ!」と自分に言い聞かせる必要があるのだが。

飲食禁止という「ルール」は、館内の清掃コストを利用者に少しずつ押し付けているという見方も出来そうだ。環境維持のための清掃・害虫駆除・殺菌消毒などは、サービス提供者側、即ち、図書館が担うものだと思う。

借りに予算がつけばやるだろうか。やらないと思う。利用者にある種の不便を強いているが、その不便が既に常識化し、変える必要も無いだろう。現状の図書館にとって、利用者の環境を良くし、利用者を増やすメリットあるだろうか。図書館が有償サービスであれば、メリットは明確だが(運営費用を得るという意味で)。

公共サービスとしての図書館は、なぜ有償化しないのか。同様の博物館や美術館は、有償化されている。図書館と博物館の違いは何なのだろう。個人的な意見でも構わないので、コメントやトラックバックをいただけると嬉しい(長文になりそうな場合はトラックバックで)。

【関連情報】
・「Campsu」170号より-「図書館喫茶 オープンに向けて」 - かたつむりは電子図書館の夢をみるか
 http://d.hatena.ne.jp/min2-fly/20071204/1196786602

22:39 | コメント (3) | トラックバック

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