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2008年03月17日
ウェブ国産力―日の丸ITが世界を制す
グニャラくんのグニャグニャ備忘録@はてなで見かけて購入を決意した。1冊だけだけど…。
ウェブ分野の技術革新が著しい。すでに米国の Google がウェブ分野の「検索」を制覇したように見えるが、実際はどうだろうか。日本の技術力や関わる人の志はどうなのだろうか。日本の技術では、世界と戦えないのだろうか。その答が本書にある。
技術大国ニッポンの反撃が今、始まる!
世界と戦う、世界とこれから戦うウェブサービスが取り上げられていると思ったが、内容の大半は、政府が進めている「情報大航海プロジェクト」の紹介であった。期待していた内容と違い、良い意味で期待を裏切られたというわけでもなく、不完全燃焼となった…。
第一章 未来検索ブラジルはグーグルの未来を「見ない」
買う目的となっていた、未来検索ブラジルに関する記述がそれなりにあり、目的は達成。
ウェブは、すでに完成されていると思われた技術を超える新たな技術が誕生することにより、成長を遂げてきた。グーグルがゴールでないことも当然である。グーグルを超える何かはまだ見えないが、グーグルの潜伏期間を考えれば、すでに小さな芽が出つつあるのかもしれない。
八尋 グーグルが日本に検索エンジンのデータベースを収めたサーバを置いていないのは、著作権の問題があるからです。検索対象がサーバに入ると複製になってしまい、現行の著作権法に抵触してしまう。 ...(以下略)...
情報大航海プロジェクトを動かしている八尋氏の言葉であるが、納得しがたい。後者は、正しいと思うが、前者は著作権法と関連がないと思われる。
検索サーバを「国外」に置けば、日本の著作権法が適用されないように受け取れますが、日本では属人主義が採用されており、検索サーバを「国外」に置いても運営が国内でなされている限りは、日本の著作権法が適用されると思います。
先日書いた内容を引用(論文の複製は図書館で行うべきとか)。海外サーバで運用を行っても日本の著作権法が適用されると考えていますが、実は間違っている?僕が真面目に受け取りすぎで、単に「適用されるが摘発しにくい」という意味で皆さん語っているのだろうか。少し大げさに語ることで、法改正を有利に進めるという計算があるのかも。
八尋 ...(中略)... 新聞記事の見出しの配信も、日本の著作権法ではアウトです。
佐々木 海外では大丈夫?
八尋 韓国では判例が出て救済されています。中国は条例で手当てされているそうです。アメリカの法律と同じように、後から指摘された場合に削除すればいいという考え方。日本では最初からダメですからね。
日本でも、判例で著作権法上は救済されていると思う(平成17年(ネ)第10049号 著作権侵害差止等請求控訴事件)。同時に不法行為と認定されているが…。2006年のインタビューという事もあり、この判例の解説も行って欲しかった。この判例は、著作権法上保護されていない「著作物」であっても、法的に守られうる財産となる可能性を示しており、法改正だけで済む問題ではないとも考えられるからだ。
グーグルや検索業界の理解を促す書籍として、この2冊挙げる。
佐々木氏の著書は、良著が多いのだが、本書はあまりお勧めできない。未来検索ブラジルが好きな方や情報大航海プロジェクトに興味のある方は、読んでみてはどうだろうか。
ページ数: 271
読書時間: 1:51 (2.44 p/min)
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【関連情報】
・情報大航海プロジェクト
http://www.igvpj.jp/
2008年03月17日 23:46 | Books